欧州委、食品と飼料に関する早期警戒システムの実施状況報告を公表


2003年の実施状況を公表

 欧州委員会は3月8日、食品と飼料に関する早期警戒システム(Rapid Alert System for Food and feed、以下「RASFF」という。)の2003年の実施状況に関する報告書を公表した。

 RASFFは、加盟各国が、食品の安全を確保するための措置を実施するため、効果的な情報交換が行えるようにすることを目的として、「食品法の一般原則と欧州食品安全機関の設立、および食品安全性に係る手続きに関する欧州議会および理事会規則(EC No178/2002)」に基づき、EUの加盟各国、欧州委員会、欧州食品安全機関(ESA)の情報ネットワ―クとして創設されたものである。

 このシステムでは、加盟国が、ヒトの健康に直接的または間接的に影響を及ぼす重大な危険性の存在に関する情報を入手した際は、その情報をこのシステムを活用して欧州委員会に直ちに通知することとなっており、欧州委員会は、メンバーから通知された情報を直ちにESAやその他加盟国に伝達することとなっている。

 通知については、その内容により次の2つに分類されている。

 警戒通知(alert notification)
  :健康への危険性を有する食品や飼料が既に市場に出回っており、迅速に当該食品等の回収等の措置を実施することが必要な場合に出される通知。

 情報通知(information notification)
  :危険を有する食品等が確認されてはいるものの、まだ市場に出回っていないために、迅速な措置を実施する必要がない場合の通知。

通知の概要

 2003年の報告書によれば、EU全体で、警戒通知に関するものが454件、情報通知に関するものが1,856件あり、それぞれ2002年に比べ、4.6%、70.0%の増加となっている。

 2003年に行われた通知の概要は以下の通り。

1 食品の種類;食肉・肉製品に関するものと魚介類に関するものが、それぞれ警戒通知全体の21%を占め、最も通知が多い食品となっている。一方、情報通知に関しては、ナッツ、ナッツ製品に係るものが、この通知全体の39%を占めている。また、食肉・肉製品に係るものは、同8%となっている。

2 危険の種類;警戒通知では、化学物質汚染が36%、微生物汚染が31%を占めており、情報通知では、マイコトキシン(注)が最も多く39%、微生物汚染が16%、化学物質汚染が11%となっている。

 なお、RASFFについては、週ごとにもその状況が公表されており、3月8日から12日の間に、警戒通知が7件、情報通知が25件出されている。

(注):穀物に発生することのあるカビにより作られる毒素。ヒトや家畜に生理的障害等を及ぼす恐れがある。

◎豚肉への輸出補助金を停止

 欧州委員会は、本年1月下旬に決定した豚肉への輸出補助金について、欧州の豚肉価格が回復したことから、委員会規則を改正し、3月16日以降は適用しないこととした。なお、パルマハム等への輸出補助金の交付は引き続き行われる。


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