乾燥、降雨過剰から生産量を下方修正
ブラジルでは、国家食糧供給公社(CONAB)による2003/04年度第3回主要穀物生産状況調査(2月上旬に実施)以降、各地での天候不順が深刻となり、大豆の大幅な減産が見込まれている。
CONABによると、国内最大の生産州であるマットグロッソ州などの中西部では、降雨過剰により収穫作業に遅れが生じている一方、リオグランデドスル州などの南部では、降雨不足による乾燥から生産性が著しく低下している。
リオグランデドスル州農畜産連合組合(FecoAgro)が傘下の農協に対して行った調査によると、1ヘクタール当たりの収量が前年に比べ約3割低下する見通しであると報告されている。また、報道では南部のパラナ州農務局農業経済部(DERAL)の担当者の話として、「大豆作付面積の約12%は収穫が終了し、約6割が生育中であるため、今後の降水次第でさらに減産となる可能性もある」と各地で減産の見通しが伝えられている。
さらに、ブラジル全国農業連盟(CNA)は、中西部からブラジルのほぼ全土に広がっているアジアさび病による被害も顕著と述べている。CNAが推定したところによると、被害額はすでに34億ドル(約3,740億円:1ドル=108円)に達しており、これは減産による損失のみで、防除のための費用は含まれていない。なお、農薬散布にかかる費用は1ヘクタール当たり約120レアル(約4,500円:1レアル=38円)と推定されている。
このような状況から、CNAでは今年度の大豆の収穫量は、第3回調査時予測の5,767万トンを11%下回る5,150万トン程度と下方修正している。
4月中旬に実施されるCONABによる第4回の生産状況調査の結果から天候不順による影響が明らかになるものと思われる。
アルゼンチンでも降雨不足の影響を受け、減産見込み
一方、アルゼンチンでは、農牧水産食糧庁(SAGPyA)が公表した予測によると、作付面積は、パンパ地方南部やアルゼンチン北部でトウモロコシやヒマワリ栽培から大豆栽培への移行が進んだことや品種改良により、前年比11.8%増の1,410万ヘクタールと過去最高の見通しとなっている。しかし、生産量については、生育期における降雨不足から前年比0.3%減の3,470万トンと予測されている。主産地(サンタフェ州南部、コルドバ州南東部およびブエノスアイレス州北部)では、前年同期の40〜50%程度の降雨量しかないため、単位当たりの収量に大きく影響するものと見込まれている。さらに季節外れの暑さも加わり、質の低下も懸念されている。
南米での減産見込みを受けシカゴ相場は上昇
アルゼンチンやブラジルでの収穫量が、当初見込みを大きく下回るとの予測を受け、シカゴ相場における大豆価格は3月19日には、1ブッシェル当たり10.18ドル(1トン当たり374ドル:約40,400円)と、米国が深刻な干ばつの被害を受けた1988年7月以来の10ドル台を記録し、16年ぶりに最高値を更新した。
今後はブラジルがプライスメーカーに
ブラジル、アルゼンチン共に減産が見込まれる中、民間財団主催の「大豆と国家開発」と題するセミナーが3月17日、アルゼンチン第3の都市でパンパ穀倉地帯中心部でもあるロサリオ市で開催された。専門家からは、ブラジルには、大豆の作付けが可能な土地が7千万ヘクタール以上あることから、今後数年のうちにブラジルが国際価格のプライスメーカーとなると期待されているという報告があった。
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