口蹄疫撲滅に向けて官民共同の行動を喚起
米国テキサス州ヒューストンで3月3〜4日、パンアメリカン保健機構(PAHO)および米国農務省(USDA)共催による西半球口蹄疫撲滅会議が開催された。
この会議は、口蹄疫に対する認識を高め、アメリカ大陸における口蹄疫撲滅の最終段階に向けた官民一体の意思統一を図り、取り組みへの支援を得ることを目的としている。特に
・公的機関、民間企業それぞれの責務を明確にすること
・関係者がどのような貢献ができるかを確認すること
・口蹄疫撲滅過程における民間レベルでの効果的な検査の促進とその支援
などが挙げられている。
会議にはアメリカ大陸の各国政府代表をはじめとして、国際機関、他の地域からも民間企業などの関係者が150名以上参加し、口蹄疫撲滅に向けた課題や貿易障壁について討議がなされた。
ワクチン接種が貿易障壁となることを懸念
会議に出席したアルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)のカンポス長官は、西半球全体での撲滅に向けた行動を起こすことが重要であるとし、撲滅計画は(1)系統的なワクチン接種(2)家畜の移動制限(3)血清検査(4)疫学上の監視措置−により構成されるべきであると述べた。さらに、一部の国が維持しているワクチン接種による通商の制限については、これを正当化する科学的根拠はなく、ワクチン接種国のステータスを備えている国は、通商上の制限を受けるのではなく、あらゆる市場にアクセスできるべきであると強調した。
この提案に関しては、今回の最終宣言の合意事項として「動物の健康および人畜共通伝染病については、世界貿易機関(WTO)に承認されている国際獣疫事務局(OIE)の基準などを遵守することを支持する」という項目が取り入れられている。
また、ブラジルのロドリゲス農相も、ブラジルの撲滅活動への全面的な参加を表明し、すでにパラグアイやボリビアなど隣接国と共に取り組みを実施していることを強調した。
撲滅に向けての具体的スケジュールを設定
会議の最終宣言には、口蹄疫撲滅に係る政策、技術、財政、行政上の事柄が盛り込まれるとともに、西半球口蹄疫撲滅委員会(COHEA:PAHOによる西半球口蹄疫撲滅プログラムを評価するために作られた委員会)の中に、公的機関および民間企業から選出されたメンバーで構成される地域別のワーキンググループを設置することなどが合意された。さらに、ワーキンググループの活動内容として、(1)2004年8月31日までに、2004年から2006年までの実行計画を構築すること(2)2004年9月30日までに現在の口蹄疫撲滅プログラムを検証すること−なども決定されている。
なお、これとは別に本会議中、アルゼンチンとブラジルは南米全体における口蹄疫撲滅を迅速化し、今後4年間で根絶させることで合意した。
◎アジアミッションが帰国
マレーシア、台湾、日本への訪問から帰国したサブサイ農牧政策次官は今回のミッションの成果について「極めて前向き」であったとコメントした。
日本では、口蹄疫および牛海綿状脳症(BSE)の衛生状況に関する討議が行われ、アルゼンチン側が全国的なワクチン接種キャンペーンやパタゴニア地方(南緯42度以南)における口蹄疫ワクチン不接種清浄地域の状況について説明したのに対し、日本側は満足の意を表したとした。また、同次官は、「年間80万トンの牛肉を輸入する重要な市場への史上初の解禁に向けての交渉の出発点である」と強調した。
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