90年代に小売上の再編が加速
米農務省海外農業局(USDA/FAS)が2月に発表した報告によれば、韓国の食品小売業は1993年に最初のハイパーマーケットが開業され、さらに1996年の外国資本の大規模店舗に対する規制緩和により大幅に改革が進んだものとされている。また、1998年のアジアの経済危機を契機に国内業者の整理統合により大規模化も促進された。一方、伝統的なウエットマーケットや個人商店の売上高に占める割合は高いが、ハイパーマーケット、コンビニエンスストア、オンラインストア(テレビ、インターネットショッピング)の台頭も目覚しい。これらの大規模店は韓国消費者の生活様式の変化とITの発達とともに発展している。消費者は、低価格、利便性、新製品、安全で新鮮な食品をコンセプトとして探し求めている。
伝統的な小売店は旧市街が中心
伝統的なウエットマーケットや個人商店は食品小売市場の66.3%を占めており、減少傾向にあるものの未だに根強いものがある。これらの伝統的な小売店は、交通の要所や住宅密集地など都市構造上の問題によりハイパーマーケットなど大規模店の進出が困難な旧市街地で未だに優勢となっている。現在韓国では、自家用自動車の保有が一般的となり消費者が自家用車を利用して距離に関係なく低価格でまとめ買いの可能な郊外のハイパーマーケットやスーパーマーケットの利用が増加している。
伝統的なウエットマーケットは大きな卸売市場や地方市場が中心となっている。そこで扱われるものは、加工食品よりも魚や食肉などの生鮮食品や多くの輸入食品(野菜、果物魚介類、食肉、香辛料、穀類、油脂など)が主に流通している。個人商店は卸売市場から商品を購入し販売しているが、これら伝統的なウエットマーケットは大規模販売店との競合にさらされているものの都市部の重要な食糧供給者となっている。
ハイパーマーケットが小売を牽引
2002年は引き続きハイパーマーケットが増加しており37店が新たに開店した。業界関係者によると、今後、ハイパーマーケットの出店は100から200店舗が予定されている。これらの予測は小売業界での企業間の統合合併などが活発化している近況を基に行われたものである。2002年に開店された37店舗のうち24店舗が上位3社(第1位:E-mart、同2位:ロッテマート、同3位ホームプラス)によるものである。加えて市場占有率も上位5社(同4位:カルフール、同5位:ウォールマート)で外国資本の参入などにより2000年の50.5%から2002年は75.8%と寡占化の様相も呈している。
表1 韓国の小売形態別売上高
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(単位:1兆ウオン、%)
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資料:韓国食品年間2003等
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