●●●肥育素牛価格、飼料価格ともに高止まり●●●
フィードロット業界にとっては当面コスト負担を強いられるものと見込まれている。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)の調べによると、2004年7〜9月の肥育素牛(生体重330kg超)平均取引価格は、前年同期比10.7%高のキログラム当たり202.8セントとなり、過去数年において記録的な高値となった。
また穀物価格も、国際価格が下落傾向にある中、豪州国内の小麦価格(シドニー)は昨年10月以降、年間を通じて小幅な動きにとどまっており、トン当たり210〜230豪ドルの範囲で推移している。大麦価格もトン当たり165〜185豪ドルと小動きで推移しており、国際価格との格差は最大16豪ドルまで広がっている。
図1 肥育素牛価格と穀物価格の推移
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資料:ABARE、MLA調べ |
●●●おう盛な肥育牛需要が背景に●●●
肥育牛価格が高値で推移している背景には、日本向け輸出が依然好調なことがある。9月の対日グレインフェッド輸出量においても前年同期比58%増と大幅な伸びをみせており、それに伴う日本向けフィードロット肥育素牛の需要がおう盛で、引き合いが強まっている。MLAによると、好調な日本向け牛肉輸出を背景としたフィードロット生産者の投資拡大が、肥育素牛の買占め競争を招いており、品薄感が出ているとしている。
●●●来期の穀物生産には不安が●●●
2004/05年度における豪州国内の小麦価格は、国際価格の下降圧力を背景に、前年度比では下落するものの、トン当たり200豪ドル台を下回ることはないと見込まれている。豪州農業資源経済局(ABARE)の予測によると、2004/05年度の小麦価格は前年度比7%安209豪ドルになるとしている。
しかし、来期における穀物供給は不安が残る。8月は主要穀物地帯で雨に恵まれたものの、穀物生育に重要な作付け期において、東海岸を中心に降雨量が平年を下回ったこともあって、冬穀物の生育に懸念がもたれている。ABAREの予測によると、2004/05年度の冬穀物生産はすべての品種で2003/04年度を下回るとされており、小麦は前年比10.7%、その他穀物は同11.5%、カノーラで4.3%の減産になると予想されている。
豪州のフィードロット農家にとって当面飼料穀物の確保にやや不安が残りそうだ。
図2 穀物生産量の推移
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資料:ABARE調べ |
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