●●●2003年輸出量は4.4%増、170万トン●●●
デンマーク豚肉機構連合(DS)によると、EU最大の豚肉輸出国であるデンマークの2003年における豚肉輸出量(生体、加工品を含む)は、前年と比べて4.4%増の169万6,707トンとなった。デンマークはEU15カ国において、ドイツ、スペイン、フランスに次ぐ第4位の豚肉生産国であり、かつ、国内生産量の約9割を輸出する世界有数の豚肉輸出国である。わが国の豚肉輸入においても米国に次ぐ輸入先国で、輸入量全体の約3割を占めるデンマークの生産動向は、日本および世界の豚肉需給に及ぼす影響は大きい。
●●●主要輸出先はドイツ、イギリス、日本●●●
2003年における同国の豚肉輸出を輸出先別にみると、輸出量全体の63.4%を占めるEU域内向けは、前年と比べて4.9%増の107万5,292トンとなった。主要な輸出先国は、ドイツ、イギリス、イタリアで、それぞれ40万トン、31万トン、14万トンとなった。また、DSによると豚肉需要が増加傾向にある新規加盟10カ国(NMS10)向けは、10カ国全体で4万6,909トンであったが、特に需要の増加が顕著であるポーランドやハンガリーなどにおける自給率の低下により、今後3年間でNMS10向け輸出量は、約4倍の18万トンまで増加すると見込まれている。
一方、EU域外向けは、同3.5%増の62万1,415トンとなった。EU域外における最大の輸出先である日本向けは、2003年8月から前年に引き続き豚肉などに係る関税の緊急措置が発動されていたことから、前年並み(同0.3%増)の24万3,983トンとなった。なお、日本向け輸出量は、域外向け輸出量全体の39.3%を占めており、輸出先全体の中でもドイツ、イギリスに次ぐ第3位であった。また、日本への豚肉輸出量は、わが国の堅調な豚肉需要などを背景に、1992年と比べて47.0%増と大幅に増加している。域外向け第2位の輸出先であるロシア向けは、同国における関税割当措置の実施や安価なブラジル産などとの競合から、同30.5%減の7万2,513トンと減少した。そのほかの輸出先では、中国、香港、韓国向けが、それぞれ3万8千トン、3万4千トン、2万7千トンとなった。
なお、輸入量については、ドイツ、スウェーデン、イギリスで全体の約7割を占め、輸入量全体では同18.3%増の11万8,753トンとなった。
●●●2004年1〜4月期の日本向け輸出は32.5%増●●●
イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、2004年7月時点のデンマークの豚飼養頭数は、繁殖用めす豚(前年同期比0.9%増、113万4千頭)や、肥育豚(子豚含む)(同0.4%増、1,173万5千頭)の増加により全体では同0.4%増の1,317万頭となった。また、DSによると、2004年のデンマークの豚と畜頭数は、前年と比べて0.7%増の2,477万頭と2004年においてもデンマークの肉豚、豚肉生産は堅調に推移すると見込まれている。このような中、2004年1月から4月期におけるデンマークの豚肉輸出量(冷蔵・冷凍、製品重量ベース)は、域外向け、特に日本向け輸出量が前年同期に比べて32.5%増の11万7千トンと大幅に増加したことなどから、全体では同10.9%増の40万1,743トンと好調を維持している。近年、特に日本向け冷凍豚肉の輸出が増加傾向にあるデンマークの今後の動向に注目していきたい。
図 デンマークの輸出先別豚肉輸出量
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資料:DANSKE SLAGTERIER STATISTICS 2003 |
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