EU産畜産物の衛生証明についてEUとロシアが合意


協議は6月から実施

 欧州委員会は9月2日、EU産畜産物(牛肉、豚肉、家きん肉、乳製品など)の衛生証明に関するEUとロシアの協議が合意に達したことを公表した。今後、EU各加盟国からロシアに輸出される畜産物については統一した衛生証明書を使用することにより、10月1日以降もEU産畜産物のロシアへの輸出を継続できることとなった。

 ロシアは、EUにとって最も重要な畜産物輸出国の一つであるが、本年6月1日、ロシアはEU産畜産物の輸入を一時停止した。これはロシアがEUに以前より求めていたEU産畜産物の衛生証明書の統一が実現されていないためであった。その後、両者の協議などにより、ロシアは6月5日、輸入一時停止措置を解除し、従来の衛生証明書を本年9月30日まで受け入れることとした。同時に、欧州委員会は、ロシア当局と本年10月1日以降の家畜衛生の証明方法について協議を行うこととし、両者の実務者などによる技術的な協議が行われ、9月1日に合意に達した。

 この合意を踏まえ、オランダ農業・自然・食品安全省フェールマン大臣(オランダは2004年下半期の欧州連合の議長国)とともに、ロシア農業省ゴルデーエフ大臣と9月2日モスクワで会談した欧州委員会バーン委員(保健・消費者保護担当)は、今回の合意により、年間10億ユーロ(約1,320億円:1ユーロ=132円)を超えるEUからロシアへの輸出が継続することとなったことなどを歓迎するコメントを発表している。

衛生証明書を統一、署名は各加盟国

 10月1日以降は、EU各加盟国からロシアへの畜産物の輸出は統一した証明書を用いて実施することとなった。一方、この証明書への署名について、ロシアはEUの機関が署名することを求めていたが、実現が困難であることからEUは反対していた。このたびの合意により、輸出する各加盟国の衛生当局が引き続き署名することとなった。また、統一した証明書が導入される10月1日以降も本年末までは、現行の証明書が引き続き使用できることとなった。

 合意した家畜衛生の証明方法については、EUにおける家畜疾病の発生状況や、科学的データの蓄積を踏まえ、毎年見直しを行うこととなっている。

ロシア、EUの地域主義を受け入れ

 また、このたびの協議の結果、ロシアは地域主義(regionalization)の導入を受け入れた。EU域内では生きた家畜や畜産物の貿易が容易であり、生産および加工が複数の加盟国で行われることがあるため、ロシアは、EU域内で家畜疾病が発生した場合、発生地域の畜産物が他の加盟国を通じてロシアに輸出される可能性があることを恐れていた。しかし、EUがEU産畜産物について、公的な輸出前衛生証明を導入することを踏まえ、ロシアはEUの地域主義を受け入れることとなった。これは、もしEUの一地域で家畜の病気が発生した場合であっても、EU全域からの輸入を禁止するのでなく、EU域内での制限措置などを考慮し、発生国の発生地域以外の地域やほかのEU加盟国からの輸入を認めるというものである。


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