干ばつの影響で利益減少
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのほど、月刊誌「フィードバック」の中で、牛肉と羊肉の年間出荷重量を基準に、2003年の食肉処理業者トップ25を発表した。
2003年の食肉処理業界は、干ばつの影響により、肉用牛や羊の出荷頭数は減少し、また肉用牛などの価格の高騰もあって、工場閉鎖が増加したことが特徴として挙げられる。
このような状況から、2003年の豪州全体の牛肉と羊肉の出荷量は、枝肉重量の低下もあり、2002年に比べ6.8%減少した。しかし、上位25社でみると、前年比2.5%減の189万6千トンにとどまった。また、上位5社の出荷量は、全出荷量の37%を占め、上位25社すべてを合せた出荷量と比べてもその50%を占めている。このように、規模の大きい食肉処理業者への集中が進みつつある。
さらに、上位25社の牛肉と羊肉の出荷重量を比較してみると、それぞれの豪州全体の出荷重量に占める割合は、牛肉については過去5年間ではおおむね80%となっており大きな変化はないが、羊肉では4年前の45%から58%に上昇しており、羊肉部門でも比較的規模の大きい業者に処理量が集まってきているとみられる。
食肉処理業者の出資状況を外国資本と豪州資本の割合でみると、2002年と比較すると大きな変化はないが、この5年間で中国や日本などの外国資本が一部撤退し、国内資本が増加した。
また、上位25社の総売上高は、公表された分の合計で55億豪ドル(4,400億円:1豪ドル=80円)、未公表も含めると、ほぼ70億豪ドル(5,600億円)と推計される。
AMH、さらにシェアを伸ばす
上位25社を企業ごとにみると、干ばつの影響により、上位10社中6社が昨年の出荷重量を下回るかもしくは前年並みとなっている状況の中で、第1位の米国資本のオーストラリア・ミート・ホールディングス(AMH)社は、処理施設を拡張し出荷重量をさらに約8千トン増やし、年間合計で約40万トンとした。同社の業界でのシェアは昨年の14%から15.7%に伸び、2位以下を大きく引き離している。2位は前年3位の日系資本のニッポン・ミート・パッカーズ・オーストラリア(NMPA)社で3位はティーズ・ブラザース社であった。その他の日系資本では、ロックデール・ビーフ社が10位となっている。
干ばつの影響はあと3〜4年続く
牛肉に関しては、2004年に入って、米国での牛海綿状脳症(BSE)発生による影響で、輸出量は大幅に増加した。しかし、干ばつの緩和を背景とした牛群の再構築の影響や、飼養頭数の減少から、と畜頭数が2003年に比べ減少しており、2004年の豪州全体の出荷重量はさらに減少すると見込まれる。
豪州農業資源経済局(ABARE)では、牛に関して、干ばつ前の飼養頭数に回復するのは、あと3〜4年必要とみている。
食肉処理上位10社
|
(トン/年)
|
|
資料:MLA「FEEDBACK」2004年8月号
注:出荷重量は推定枝肉重量 |
|