NZと豪州の協力関係が重要
ニュージーランド(NZ)の大手乳業会社フォンテラのアンドリュー会長は9月1日、シドニー市内で講演を行い、NZと豪州の乳製品が国際市場でシェアを伸ばしていくためには、相互に協力していくことが重要であると述べた。講演の要旨は次の通り。
○乳製品が時代遅れという神話を除くこと
乳製品はしばしば一次産品(コモディティー)という言葉で片付けられてしまうが、コモディティーは多くの価値を持っている。豪州が小麦や羊毛のようなコモディティーの輸出による繁栄の歴史を持つように、コモディティーに対する世界的な需要がある。乳製品は日々進歩し、世界中の健康、栄養あるいは消費者の生活様式といった分野の専門家が注目している。
○世界全体の需要増加の機会をつかむこと
世界の乳製品需要は毎年全体で2%増加している。これは豪州の年間の生産量より多い。その需要の増加を誰が埋めるのかがポイントになる。
NZと豪州は乳製品輸出量で世界第1位と第3位にランクされており、世界全体の需要の増加により現実的に利益を得られる機会が増している。過去20年間を通して市場に最も大きな供給力を有していたEUは、共通農業政策(CAP改革)、東欧への拡大やWTO協定により輸出補助金を削減せざるを得なくなったことなどから、シェアが減少した。米国も大きな輸出国であるが、実態は自由貿易を標榜していながら、国内の生産者に助成金を与えており、助成金の削減が行われれば、競争力を失うこととなる。乳製品輸出では新興国のブラジル、ロシア、ウクライナやアルゼンチンは豊富な資源と低価格な土地や労働力を有しているが、今のところ、その優位性を活かしきれていない。ただし、今後10年間でその中の数カ国が躍進してくるとみている。
NZと豪州の乳製品が国際市場でシェアを伸ばしていくためには、タスマン海を挟んだ両国の協力関係の構築が必要である。乳製品製造分野では、例えば協力して規模の拡大や重複の排除、資源の最大限の有効利用などを図ることが挙げられる。
両国の特徴ある競争上の優位性は、それぞれ共通の開かれた市場、低コスト構造、生産者などに対し補助金支払いのないことなどによる。NZと豪州は以前のようなライバル関係にあるという考えをなくす必要がある。もちろん、個々の企業は競争を続けるが、戦略的には国際市場の中で協力していくつもりであるし、そうあるべきである。
○フォンテラの豪州進出状況
フォンテラは豪州にも積極的に進出しており、豪州の生乳生産量の16%を処理し、年18億豪ドル(1,440億円、1豪ドル=80円)の収入を生み出している。
全額または一部出資している企業は次の通り。
・ ピーターズ&ブラウンフーズ、西オーストラリア州拠点 豪州の主要アイスクリーム輸出メーカー、日本向けが主。
・ ボンランド・デイリー、メルボルン拠点、ベガやメインランド、パーフェクト・イタリアーノなどのブランドを有す。
・ ボンラック・フーズ、メルボルン拠点、ビクトリア州及びタスマニア州での主要な乳製品製造業者
・ フォンテラ・オーストラリア社、乳製品を国内や海外市場に販売。
・ ナショナルフーズの株を18%所有。
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