USDA、輸入去勢牛などの衛生条件規則改正案を発表


牛結核病まん延防止のため、去勢牛などの検査の実施基準を引き上げ

 米国農務省動植物検査局(USDA/APHIS)は8月26日、ロデオショーなど特別な用途で利用される去勢牛などの輸入に対しては通常の輸入生体牛と同じ基準での結核病検査の実施を義務付ける規則改正案を発表した。

 USDA/APHISではこれまで、牛結核病などが米国に侵入するのを防ぐため、メキシコなどから輸入される生体牛に対しては、性的な処置を施していないもの(Sexually intact animals)と去勢牛および避妊牛との間では結核病検査の実施回数などを区分して定めていた。性別がはっきりしている生体牛については、(1)輸入される牛の属する承認済牛群(最低連続する2年間の政府の結核検査陰性を経て承認された牛群)でかつ、輸入される1年以内にこの旨の証明を受けたもの、(2)承認された牛群以外からの輸入の場合、輸入される牛の属する牛群すべての牛の1年以内の検査結果が陰性で、かつ、輸入される日の60日以内の検査と同様に6カ月以内の検査結果が陰性であるとともに当該牛群に新たに導入された牛の検査結果が陰性であることが条件となっていた。また、去勢牛および避妊牛の輸入に対しては(1)米国へ輸入される牛の属する牛群すべての牛の1年以内の検査結果が陰性、(2)輸入される牛の60日以内の検査結果が陰性、(3)当該牛群に新たに導入された牛の検査結果の陰性が条件となっていた。USDA/APHISはその理由について、去勢牛および避妊牛の多くが、肥育用素牛として輸入され2歳前にはと畜される一方、性的な処置を施していない輸入牛は主に繁殖用として用いられるため、その生育期間が7年から12年と長くなる。このことから結核病からのリスクを軽減するために両者の輸入条件を区別したとしている。

展覧会用牛などにも規制を追加

 そして今回の規則改正案では、前述の区分はあったものの、去勢牛および避妊牛であっても、それらが展覧会、ロデオショーや発情検査に用いるための試情畜用などの特別な用途で飼養するものには区別していなかったため、輸入される6ヶ月以内の結核病検査陰性の要件を追加したものである。

 このような用途で飼養する去勢牛および避妊牛は生育期間が肥育用に比べ長くなるとともに、シーズンオフとなる冬季には、ほかの繁殖用牛と一緒に飼養されることが想定される。このようなことから結核病感染のリスクを軽減するため、これら特別な用途に利用される去勢牛および避妊牛に対する輸入条件を厳しくすることとし、これらの結核病検査の実施は性別のはっきりした生体牛の基準に合わせるとした規則改正案となった。

スクレイピーまん延防止のための、羊・ヤギの州間取引に関する規則改正案を提示

 USDA/APHIS同日、羊およびヤギが州間で商業取引される場合の取引記録保持の義務付けなどに関する規則改正案も発表した。州間での商業取引を実施する畜産施設(家畜市場、ストックヤードなど羊・ヤギが集まるすべての施設)において開設・運営者は、羊・ヤギの飼養施設からの受付、上場・取引および引渡しについての最低限の基準や条件を定めるとともに、それら家畜のID登録と記録の保持が要求される。これは、羊・ヤギの州間取引によるスクレイピーまん延防止のために講じる措置であるとしている。

 USDA/APHISでは、両規則改正案とも10月25日までパブリックコメントを受け付けるとしている。


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