米国食品医薬品局(FDA)は9月20日、3,000羽以上の採卵鶏を飼養する小売用の鶏卵を生産する農家に対し、サルモネラ・エンテリティディス(SE)の検査を義務づけるなどの鶏卵のサルモネラ菌汚染防止対策の強化案を公表し、90日間の意見公募を行うこととした。FDAはこの案の実施によりサルモネラ菌症の患者の発生を年間に33,500人削減することが可能であるとしている。 FDAでは2010年までに公衆衛生の観点からすべてのサルモネラ菌症およびSEの発生をともに半減させることを目標として掲げており、近年サルモネラ菌症に占めるSEの割合が高くなっていることから、今回の提案はこの目標達成のための主要な対策と位置づけられている。 具体的な強化策案の概要は以下のとおり。 バイオセキュリティー対策 鶏舎間および鶏舎と外界との間でのSEの交差汚染防止などについて農地、鶏舎を含むすべての施設を対象としたバイオセキュリティー対策を策定する。この際、農場への人の出入りの制限や着衣に関する事項のみならず、鶏舎毎に器具機材を使い分けることとすることが重要であるが、これが困難な場合には器具機材の消毒を行い交差汚染を防止することが求められる。 害虫・害獣防除対策 ネズミやハエなどの害虫・害獣はSEの温床となることから、それぞれの鶏舎に適した捕虫や駆除の方法を選択する必要がある。殺鼠剤を用いる場合には鶏の誤食防止措置を講ずること。鶏舎内外の害虫などの巣となり得るものは撤去するとともに、出入り口を封鎖するなどの鶏舎内への害虫などの侵入防止対策を講ずること。 鶏舎の清掃・消毒 鶏舎もしくは当該鶏舎内で生産された鶏卵がSE陽性であった場合、鶏群の入れ替えを行うが、新たな鶏群を鶏舎に導入する前に、鶏舎をふんなどの除去後に消毒液を用いて洗浄した上で消毒を行うこと。 農場における鶏卵の冷蔵保存 既に流通・小売段階では鶏卵の冷蔵が義務づけられているが、農場段階での保管に関する規定が存在しない。このため、採卵鶏の飼養羽数が3,000羽以上の農家は、鶏卵が加工用であるか殺菌処理が行われるかを問わず、鶏卵を産卵後36時間以上農場内に留め置く場合には、摂氏7.2度以下で保管することが義務づけられる。 生産者による鶏舎内のSE検査の実施 (1)3,000羽以上の採卵鶏を飼養し家庭消費用の鶏卵を販売している者、(2)鶏卵を消費者に直接すべて販売しない者、(3)SEの殺菌処理または鶏卵の加工を行わない者のいずれかに該当する農家は、自己の農場におけるSE対策が効果的に実施されているかを監視するために、その指標としてSEの鶏舎内での存在の有無を鶏が40〜45週齢の時点で検査すること。また、同時に検査のための検体の採取や検査結果などの記録の保持が規則の遵守の確認のために求められる。 労働者の教育 各農場に1名のSE管理者を置くこと。鶏卵の生産農場は小規模なものが多く、労働者の入れ替わりの頻度が高いので、労働者に等しくFDAが承認したカリキュラムによる訓練を実施すること。 |
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