最近の輸出マーケット事情


◇絵でみる需給動向◇


●●●日本向けおよび米国向けの輸出市況●●●

 豪州産牛肉価格は相変わらず高止まりの状況となっている。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)の調べでは、8月の対日輸出価格(グラスフェッドフルセット)は、前月比で4.4%増、前年同期比で20.1%増の186.8米セント(約207円、1ドル=111円)となった。MLAによると、6月末から7月末にかけて日本国内で米国産牛肉の輸入再開観測が広まったことで在庫が一掃されたものの、8月に入って再び輸入業者が豪州産牛肉の買いに転じたことから、価格が押し上げられたとしている。8月の対日輸出量は3万1千トン(船積みベース)となっており、前年同期と比較すると44%の増加となっている。

 一方、対米輸出価格(90CL)は8月、前年同期比26.5%増の389.7豪セントとなり、2002年5月以来の高値をつけた。米国国内において供給量のひっ迫傾向が依然として続いていることから、豪州産の牛肉に対する需要が根強く、価格の押し上げ要因となっている。8月の対米輸出量は同22.0%増の3万7千トン(船積みベース)となっており、豪州における加工牛肉輸出(90CL以上)の95%を占める仕向け先となっている。

図1 対日および対米輸出価格の推移
資料:MLA調べ

●●●供給不足が価格のさらなる押し上げへ●●●

 今年1年を通じた需要の高まりと成牛価格の高騰によって、生産者は、例年以上に生産を増加し利益の確保に努めているとみられる。過去10年における平均値と比較すると、2004年のと畜頭数および枝肉生産量は、ほぼ全ての月で平均値を上回る勢いで推移しており、その傾向が顕著に表れている。

 しかし、これに伴う飼養頭数の減少は、まもなく迎える春(9月〜11月)に向けて成牛の確保面で不安を抱かざるを得ない。MLAの予測でも、9月の末か10月の初旬まで飼養頭数の増加は見込まれないとしており、そのことが市場により供給の先細り感を与え、さらなる価格の押し上げ要因となっている。

図2 過去10年における平均値との比較
資料:ABS、MLA調べ 

●●●来期も見通しは明るい●●●

 MLAの予測によると、豪州産牛肉の輸出は来期においても明るい見通しを維持できるとしている。MLAは予測の中で、米国産牛肉の輸出再開の時期を2005年前半とすれば、豪州の畜産業にとって当面の間は輸出停止を前提とした市況が維持されるであろうとしている。仮に輸出が再開され米国産牛肉が市場に再参入したとしても、一時的な反動による出回り量および価格に変動はあるが、その後相場は安定し平均的な水準に落ち着くであろうとMLAは予測している。

 また、米国向け輸出市場は、来期においても輸出業者にとって魅力的な市場であり続けるとみており、対米輸出価格も高水準を維持するであろうとしている。


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