EU、2011年まで牛肉消費量が生産量を上回る見込み


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は、2004年から2011年におけるEU25カ国(EU25)の主要農畜産物の需給に関する中期予測を公表した。牛肉(子牛肉を含む)の需給予測の概要は次の通りである(需給予測を行う上での前提条件については、本誌の牛乳・乳製品需給欄(EU)を参照)。

●●●EU25、2011年の生産量は788万6千トン●●●

 EU25における牛肉生産量は、(1)2000年末に再燃したBSE問題の影響により落ち込んだ消費が回復したこと、(2)2005年初めにはイギリスにおける30カ月齢以上の牛由来の牛肉買い上げおよび廃棄処分対策(OTMS)の段階的な見直しが実施されること−などから、2006年までは前年をわずかに上回って推移する。しかし、CAP改革により肉用牛分野への支援が弱まることや、フランスやドイツなど主要生産国を初め加盟国の多くで牛飼養頭数の減少が続いていることから、それ以降は減少傾向で推移し、2011年におけるEU25全体の生産量は、2004年とほぼ同水準の788万6千トンと見込まれている。

●●●消費量は815万5千トン●●●

 一方、BSE問題の再燃などの影響から2001年には671万トンにまで落ち込んだEU15カ国(EU15)における消費量は、2003年には826万7千トンと完全に回復し、過去20年来で初めて消費量が生産量を上回り、また、2004年4月には、2002年末に26万6千トンに達していた牛肉の介入在庫もすべて解消されている。なお、このような状況は2011年まで継続し、2011年におけるEU25全体の消費量は2004年と比べて1.0%増の815万5千トンと見込まれている。また、1人当たりの消費量をみると、EU25全体では2004年以降17.7キログラム前後で推移するが、EU15では同19.7キログラム前後であるのに対し、新規加盟国(NMS10)では同7.5キログラム前後とEU15に比べてかなり低い水準にある。

●●●輸入は16.8%増、輸出は17.5%減●●●

 域外向け牛肉輸出量は、2000年末のBSE問題の再燃や、2001年2月の口蹄疫の発生により、多くの国での一時的なEU産牛肉の輸入禁止措置により大幅に減少し、2001年以降ほぼ前年を下回って推移している。域内需要の回復に伴い、今後もEU25全体の輸出量は減少傾向で推移し、2011年では2004年と比べて17.5%減の30万1千トンと見込まれている。一方、輸入量については、消費の回復が顕著であった2002年以降、主要輸入相手国であるブラジルなど南米諸国などからの輸入を中心に増加傾向で推移し、2011年には同16.8%増の57万トンと見込まれている。2003年に初めて輸出を上回ったEUの牛肉輸入については、2011年までこのような状況は続くと見込まれている。


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