消費拡大の傾向とデイリー・オーストリアの戦略


◇絵でみる需給動向◇


●●●消費拡大はとどまるところを知らず●●●

 デイリー・オーストリア(DA)はこのほど、豪州における会計年度の終了に伴い、今年度の乳製品消費に関する総括を発表した。それによると、2003/04年度(7月〜6月)における飲用乳、チーズ、スプレッド、ヨーグルトの国内販売量は、それぞれ11億1千リットル(前年度比2.5%増)、13万1千トン(同2.1%増)、3万9千トン(同4.5%増)、10万9千トン(同5.4%増)となった。販売額も前年を上回っており、4品目合計で35億豪ドル(約2,800億円、1豪ドル=80円)の売上を達成したとしている。過去数年で比較しても4品目全てにおいて、販売量および販売額が前年を上回っており、近年の消費拡大を象徴している。

 また、国際的な乳製品市場においても、需要は依然堅調に推移しており、需要に下支えされた国際価格は引き続き好調に推移している。

●●●乳製品消費拡大の要因●●●

 なぜ乳製品の消費は拡大を続けるのか。これは近年の健康志向の高まりと結びついた販売努力などの結果とみられるが、健康志向の一例として、乳製品の摂取量を増やすことにより、痛風の発病が抑制されたという米国の研究結果からわかるように、乳製品には痛風の原因となる尿酸値を抑える働きがあるといわれている。このような研究結果が健康意識の高い現代人にとって、乳製品の効能を見直すきっかけとなり、乳製品の消費拡大へとつながっているとみられている。

図 主要食品摂取による痛風発病率比較
資料:DA「Nutrition NEWS」


●●●酪農産業のさらなる発展へ向けたDAの戦略●●●

 酪農大国である豪州にとって、乳製品の消費拡大ほど格好な材料はない。豪州を代表する酪農団体であるDAはこのほど「戦略計画2004-09」を策定し、消費拡大と酪農産業のさらなる発展を目指して、DAが果たすべき役割と今後取るべき戦略を明らかにした。

 それによると、DAは次のような戦略を打ち立てている。(1)貿易交渉への貢献などを通して、市場アクセスの向上に努めること、(2)消費者との対話を通じて、需要の変化に敏感に即応できる体制を構築すること、(3)生産流通過程を強化して、国際競争力を高めること-など。

 DAは今後とも、サービスの向上と技術革新の実現に向けた取り組みを模索し実行していきたいとしている。


元のページに戻る