EU、豚肉需給は2011年まで安定的に推移


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は、2004年から2011年におけるEU25カ国(EU25)の主要農畜産物の需給に関する中期予測を公表した。豚肉の需給予測の概要は次の通りである(需給予測を行う上での前提条件については、本誌の牛乳・乳製品需給欄(EU)を参照)。

●●●EU25、2011年の生産量は2,276万5千トン●●●

 EU25における豚肉生産量は、域内外における堅調な豚肉需要により、今後、EU15カ国(EU15)、新規加盟国(NMS10)ともに、増加率はこれまでよりも緩やかであるもののほぼ増加傾向で推移し、2011年におけるEU25全体の生産量は、2004年と比べて6.8%増の2,276万5千トンと見込まれている。特に、NMS10においては、2011年の生産量は同12.1%増の389万5千トンとかなり大きな増加が見込まれている。

●●●消費量は2,145万5千トン●●●

 一方、消費量については、鶏肉には及ばないものの消費者の豚肉に対する支持が今後とも続くとみられることから、着実に増加傾向で推移し、2011年にはEU25全体で同6.0%増の2,145万5千トンと見込まれている。また、1人当たりの消費量をみると、2011年にはEU25全体で同4.1%増の46.0キログラムとなるが、その増加傾向は生産量と同様に、特にNMS10において顕著であり、2011年には同13.7%(同6.5キログラム)増の54.0キログラムとEU15(同2.1%、0.9キログラム増)に比べてかなり大きく増加すると見込まれている。

 欧州委員会によると、NMS10における豚肉生産量および消費量は、EU25全体の約20%を占めており、豚肉の需給においてその地位をより高めるているとみている。

●●●輸出量、輸入量ともに増加見込み●●●

 域外向け豚肉輸出量は、主要輸出先であるロシアで2003年から関税割当措置が実施されたことや同国への輸出をめぐるブラジル産などとの競合から2004年には減少するものの、2005年以降はポーランドなどNMS10における域外向け輸出量の増加などにより、2011年にはEU25全体で同6.0%増の134万8千トンと見込まれている。一方、NMS10以外の中・東欧諸国や米国などを主要輸入相手国としている域外からの輸入量については、2011年には同22.6%増の3万8千トンと見込まれている。

 また、欧州委員会によると、EUの域内貿易については、NMS10における豚肉消費量の急激な増加に伴いNMS10国内の生産だけでは供給が不足することから、今後、増加傾向で推移すると見込まれている。


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