欧州委、WTO交渉の早期妥結を決意


枠組み合意は道半ば

 7月27日から行われていた世界貿易機関(WTO)一般理事会において、ドーハ開発アジェンダの枠組み合意文書が8月1日に採択された。

 8月2日に公表された欧州委員会のプレスリリースによると、多国間貿易システムがすべての加盟国、とりわけ途上国の要求を実現できることを今回合意された枠組みがはっきりと示すものであると評価している。

 一方、今回の合意は、2001年11月にドーハにて立ち上げられた多角的貿易交渉であるドーハ開発アジェンダの半分を終えただけであり、WTOの加盟国は今次ラウンドを可能な限り早期に完結させるため、合意された枠組みを明確、詳細、かつ具体的なものにしていかなければならないとしている。

 さらに、プレスリリースでは、今回の枠組みに示された5つの事柄に加え、ラウンドの最終合意では、貿易と環境、地理的表示(GI)などそのほかの事項も十分にカバーすべきであるとしており、EUが今後とも、環境に配慮した活動や、GIについて議論を行う予定であることを示している。

 一方、合意内容の中の農業に関する説明では、(1)貿易歪曲的な農業支援の削減、(2)貿易歪曲的な輸出措置の終了−の二つの事柄を中心に説明している。

 貿易歪曲的な農業支援の削減に関する部分では、EUが昨年改革した共通農業政策(CAP)は今回合意された枠組みに組み込まれているが、他の先進国、とりわけ米国は政策の見直しの必要があることを特に述べるとともに、貿易歪曲的な輸出措置の終了に関する部分では、世界中のすべての形態の貿易歪曲的な措置が同様の扱いになったことを説明しており、合意内容が域内の関係者の関心に応えたものとなっていることなどを強調している。

EUの貢献、成果を強調

 プレスリリースの中で、ラミー委員(通商担当)は、「ドーハ開発アジェンダは、すべての加盟国に成長と発展をもたらすものである。昨年9月のカンクンでの議論の停滞の後、今回の決定は多国間貿易システムが有効であることを示している。しかしながら、まだ道半ばである。われわれは今次ラウンドを早急に完結させ、刺激を必要としている世界経済に良い知らせをもたらす必要がある。」とさらなる議論の進展に向けたコメントを発表した。また、5月にラミー委員とフィシュラー委員(農業および農村開発・漁業担当)の連名で送付したEUはすべての輸出補助金を撤廃する用意があることなどを内容とするEUの書簡が、今回の枠組み合意のきっかけとなったと、EUが大きく貢献したことを述べている。

 また、フィシュラー委員は、「本日の合意により、他の先進国が政策の見直しにおいてEUの後に続くことを確実とした。EUの農業政策改革に、異論を唱える者はいない。」とのコメントをしている。


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