輸出拡大の一方で、SISBOVへの登録数減少を懸念 ● 伯


登録頭数は前月比62%減

 ブラジルでは、2007年12月までにすべての牛(水牛を含む)を生産する農場では個体識別制度(SISBOV)への登録が義務付けられているが、7月の登録頭数が前月比62%減となったことに政府は強い懸念を示している。6月の登録数は459万7千頭に達したが、7月は173万5千頭にすぎなかった。期限までには約1億9千万頭が登録されると推計されているが、現在までの登録数は約2千600万頭にとどまっている。このため、ロドリゲス農相は、SISBOVへの加入を促進する意向を明らかにし、「特に牛肉に関しては、世界最大の牛群保有国、牛肉輸出国として、ハイリスクの疾病の撲滅を急ぎ、衛生基準を向上させるとともに、迅速かつ信頼性の高いトレーサビリティシステムを確立する必要性を認識することが重要である」と語っている。

2004年の輸出は大幅増の見込み

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると2004年1〜7月の牛肉輸出量(製品重量ベース。冷蔵肉、冷凍肉、および加工肉)は、前年同期比30.9%増の61万トン、同輸出額(FOBベース)は同69.9%増の13億3,300万ドル(1,466億3千万円:1ドル=110円)となった。そのうち、生鮮牛肉(冷蔵・冷凍)の輸出量は前年同期比39.9%増の48万2千トン、同輸出額は83.8%増の10億5千万(1,155億円)であった。これを国別の輸出量でみると、エジプトが同62.1%増の7万4千トン、ロシアが同76.1%増の7万トン、チリが同29.1%増の6万2千トン、イランが同28.0%増の2万9千トン、オランダが同14.5%増の2万5千トンなどとなっている。なお、生鮮牛肉輸出額が最大のチリについては、7月にチリがアルゼンチンからの輸入を解禁したことで、今後はチリの全輸入量の9割を占めるブラジルのシェアがどの程度変化するのか注目される。

 ABIECでは、輸出増加の要因として、数量面については、(1)ここ数年間に輸出企業が開拓してきた市場が堅固なものとなってきたこと、(2)アルジェリア、ベネズエラ、リビアなど新規市場への進出に当たり、他国より低コスト生産の恩恵から競争力のある価格をオファーできたこと、(3)米国で発生したBSE問題によりエジプトなどがブラジルに供給先を求めたこと、また、金額面については、(4)高付加価値製品の輸出が増えたこと、(5)国際価格の上昇−などを挙げ、2004年の輸出額は20億ドル(2,200億円)以上に達するとの見通しを立てている。なお、2003年の総輸出額は15億1,500万ドル(1,666億5千万円)であった。

◎輸出促進に向けブロックでの新たな動き

 メルコスル(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ)内で畜産関係団体間の地域統合に向けたアルゼンチン家畜荷受人協会などがこのほど、ウルグアイ、パラグアイの同業者とともに、「メルコスル家畜荷受人協会」を新たに設立した。しかし、ブラジルにおいては、独自に家畜取引を行う大規模な畜産業者が大半であり、該当する荷受人の組織がないことから、同協会へは加盟していない。

 なお、これに先立ち5月にメルコスルの牛肉生産者などが、世界市場での同ブロックの地位強化を図るための共同作業を行うことを目的に、メルコスル食肉フォーラム(FMC)を設立している。FMCは、ブラジル全国農業連盟(CNA)、アルゼンチン農 q協会(SRA)、アルゼンチン牛肉輸出業者連合会(ABC)、ブラジル牛肉輸出業協会(ABIEC)、ウルグアイ食肉処理工業協会(ADIFU)、パラグアイ食肉会議所(CPC)など12団体で構成されている。

 このフォーラムの構想は、メルコスルとEUのFTA交渉に際して生まれ、「2005年には70万トンの不足が発生する」EU市場を目標とし、通商、トレーサビリティ、口蹄疫撲滅等衛生問題などを主要課題に挙げている。

 今回、メルコスル家畜荷受人協会が設立された目的は、同業者間での地域統合を図り情報交換を行うことに加え、これまでは生産者と輸出向け食肉パッカーのみが加盟していたFMCに商業部門として参加することとしている。


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