豪州・NZ、WTO交渉枠組み合意を歓迎


輸出補助金の撤廃は大きな利益

 8月1日に世界貿易機関(WTO)一般理事会で今後のWTO交渉の枠組みが合意された。豪州およびニュージーランド(NZ)の政府や農業団体は、輸出補助金の撤廃などが含まれた合意内容についておおむね歓迎の意向を示すものの、農業団体はセンシティブ品目を含む市場アクセスの具体的内容が今後の交渉に委ねられたことから、政府に対し今後の交渉に関して一層の努力を要求している。以下にその内容を紹介する。

○豪州政府

 ベール貿易相は8月1日声明を発表し、この合意により、「我々の目的としていた貿易上の利益を伴うドーハラウンドの前進を達成できた」と述べ、今回の枠組み合意を歓迎する意向を表明した。豪州は、昨年のカンクン閣僚会合での挫折以降、これ以上の失敗は豪州の貿易上の利益に重要な影響を及ぼすとの認識の下に、WTOドーハラウンドの前進を企図し、ほかの主要貿易国とともに精力的に活動を行ってきた。

 同相は、農産物輸出補助金の撤廃が合意されたことについて、「豪州の農産物輸出に非常に大きな影響を与える農産物輸出補助金の廃止を決めたことで新しい段階を迎えた」と大きく評価している。さらに、市場アクセス分野に関しては、関税の削減や関税割当枠の拡大幅などの具体的な内容が今後の交渉に委ねられることから、「豪州は引き続き、農産物貿易の市場アクセス改善という次の段階を積極的に推し進める」と述べ、市場アクセスの具体化に向け積極的に努力していく意向を示した。

○NZ政府

 サットン貿易相は8月1日声明を発表し、「WTO交渉は成功へ向けて期待通り進んでいる」と述べるとともに、「今回の枠組み合意は、農業分野でドーハラウンドを大きく推し進めるものである」と述べ、農業補助金の撤廃などに合意したことが、NZにとって大きな成果であると評価し、また、農産物市場アクセスの進展に確固たる基礎を築いたとしている。

○NFF

 豪州の全国農業者連盟(NFF)のコリシュ会長は、輸出補助金の撤廃は歓迎するものの、市場アクセスに関する合意は期待通りのものではなかったと述べている。同会長によると、「経験から言えば、保護貿易国は抜け道を巧みに利用し、定められた貿易ルールの趣旨を損なったりする」と述べ、政府に枠組み合意から得られる利益を失わないために、これらの抜け道をなくす努力を行うよう要求している。

○MLA

 豪州家畜生産者事業団(MLA)は、農業分野に関して、貿易改革のための輪郭は描けたと評価するものの、豪州食肉産業にとっては、国内補助や輸出補助金撤廃よりも、市場アクセスの改善が利益になると述べた。市場アクセスについては今後の交渉に委ねられることから、MLAは、豪州政府とともにこの分野の改善に向けた努力を行っていくとしている。

○ミート&ウールニュージーランド

 NZの食肉生産者団体であるミート&ウールニュージーランドは、「この合意は我々に輸入関税の削減を図る環境を達成するよい機会を与える」と歓迎の意向を表し、今後の交渉について政府を支援していくことが重要であるとしている。

○DCANZなど乳業団体

 NZ乳業協会(DCANZ)は、輸出補助金撤廃の合意は、NZの乳製品輸出に大きな利益を与えるとして歓迎の意向を示し、その早期実施を期待することを表明している。

 また、NZの大手乳業会社のフォンテラも輸出補助金撤廃の合意は酪農家にとって利益になると歓迎している。


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