マレーシアで鳥インフルエンザ確認
8月18日、シンガポール食品獣医局(AVA)はマレーシアで高病原性トリインフルエンザ(血清亜型H5)が確認されたことを受けて同国からの家きん製品等の輸入を停止した。(既報「海外駐在員情報」通巻第638号参照)
AVAの措置
8月18日AVAは、上記の措置に伴い、次のように説明した。(1)マレーシアはシンガポールの消費する鶏卵の3分の2と家きん肉の2分の1を供給してきたため、今回の措置は国内需要へ影響を与えるが、貿易業者と供給の増加のための作業を進めていること。(2)冷凍家きん肉の在庫はマレーシアからの供給の短期間の不足を補えることと、豪州、ブラジル、デンマーク、フランス、ドイツ、オランダそして米国などの他の供給国からの家きんおよび家きん製品の早急な代替が可能であり、消費者がパニックに陥る必要は無いこと。(3)鶏卵については、国内で需要の3分の1を生産しており、家庭で消費する鶏卵に関しては豪州とニュージーランドから手当てすることとし、業務用に関しては粉卵や液卵を調達することとするが、供給国が多様化するため、コストの上昇は避けられないこと。(4)その他、国内の家きん製品および鶏卵は安全であるとしている。
同20日付で、AVAは、旅行者に対して、マレーシア産の家きん肉製品と鶏卵製品に関して、加熱処理の有無、量の多少および使用目的を問わず国内へ持ち込まないよう注意を喚起した。
また、同23日付けで家きん肉製品と鶏卵の供給状況などについて次のように公表した。(1)供給量増加のため、家きん肉に関しては、マレーシア産生鮮ものの不足分に関しては冷凍鶏肉で穴埋めを行う一方、ブラジル、オランダおよび米国からの供給を増加させつつあること。(2)鶏卵、特に家庭での消費用については供給が減少しているが、大手小売店がニュージーランドと豪州から合わせて38万個の契約を成立させており、9月初めに到着予定としている。(3)豪州、デンマークなどの獣医当局と連絡をとり、家庭消費用鶏卵の輸出向け農場の認定作業を促進することにより供給元の拡大を図ることとしている。(4)店頭での販売価格は、鶏肉価格が1キログラム当たり3.5ドル(224円:1シンガポールドル=64円)とマレーシア産の輸入禁止措置前と変わっていないものの、10個当たりの平均鶏卵価格は1.5ドル(96円)から2.2ドル(141円)に上昇したとしている。
その後の店頭の状況など
シンガポール市街の中心部にある大手チェーンストアでは、8月25日現在、食肉ケースの中には、生鳥をと畜した生鮮肉はなく、置かれている鶏肉のプレートには、冷凍肉を解凍したものであるため、再凍結を避けるよう表示してあった。価格は中抜きで1キログラム当たり4.2ドル(269円)となっていた。
一方、鶏卵のコーナーでは、普段の3分の1にも満たない量で、閑散としており、棚の前の看板には、マレーシアの鳥インフルエンザ発生のために入荷量が減少したこととレストランなど業務用には液卵の使用を進める旨の表示がしてあった。担当の店員に確認したところ、昨日の入荷後、本日の入荷はなく、次回の入荷は未定であるとのことである。売れ残っているのは大玉の1個当たり60グラムのパックで、3.5ドル(224円)であり、値上げ前は2.5ドル(160円)であったとしている。
このように、マレーシアからの輸入停止により鶏肉および鶏卵とも価格は上昇しており、現在手当を進めている代替え品の到着まで、この状況は続くものと思われる。
|