2004年台湾の豚肉需給見通し


豚肉の生産動向

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると2004年の台湾における豚肉生産量(肥育豚と畜からの推計値)は前年比1%減、と畜頭数950万頭とされている。これは口蹄疫後の2001年のピーク時の1,010万頭と比較して6%の減少となる。しかし、台湾農業委員会(COA)は、2004年の目標生産頭数を930万頭としているが、最近の統計は台風や情報収集の混乱から発表されていない。しかしながら、価格の高騰により飼養頭数の規模拡大は進んでいるとされているが、豚サーコウイルス(PCV)の感染による大量死などが発生しており、もしPCVの発生を抑制できれば結果として高価格により今後も引き続き飼養頭数の拡大が見込まれるとしている。

将来的な見通し

 将来的には国内需要の動向が台湾の豚肉産業の大きく影響を与えるとみられている。輸入品は主に加工用と国内需要の不足を補う用途となっている。肉豚生産は、結果的には台湾の生産コストは米国やEUのレベルと比較して1.2から1.7倍と見込まれるものの、豚群の減少が急速に進み今後3〜4年は600万頭規模で推移すると見込まれることから、高価格を背景とした経営構造の安定が図られるとされる。

豚群の減少は止まらず

 USDAは台湾の豚群の減少が今後も継続する要因を以下の通りとしている。

 1 1997年に発生した口蹄疫による輸出市場の喪失が回復しないこと

 2 豚肉生産コストの6割以上を占めるとされる輸入飼料価格が今後も高く推移すること

 3 WTO加盟後の2005年に自由化する内臓肉などの輸入競争の激化

 4 環境問題(ふん尿対策)に係る法規制の整備に伴うコストの増加

 5 高齢者の離農問題

 6 付加価値の高い農地転用

 もっとも深刻な問題は、台湾の養豚業界が1997年の口蹄疫発生以来輸出市場を失っていることであり、口蹄疫発生以前は高品質の豚肉は日本へ輸出し内臓は台湾国内で消費する形態をとっていたが、それ以降は30%も飼養頭数が減少している。台湾は2003年に国際獣疫事務局(OIE)に対し口蹄疫のワクチン接種清浄国の申請を行った。台湾としては、今後口蹄疫の発生がなければ2006年から日本向けの輸出が再開されると期待している。しかしながら日本は現在、ワクチン接種を行っていない清浄国のみ豚肉輸入を許可しているため輸出の可能性は不透明とされている。


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