USTR、WTOでの枠組み合意に向けた声明を発表


米国通商代表部、市場アクセスを拡大する合意が前提と公表

 米国通商代表部(USTR)は7月26日、同月27日から開催されるWTO一般理事会での枠組み合意に向けた声明を発表した。

 27日から行われる一般理事会に参加するゼーリックUSTR代表は、農業や製品・サービスの貿易でより一層の市場アクセスが確保された場合のみ、新たな世界規模の自由貿易協定に合意すると述べるとともに以下のコメントを行った。

 現在の我々の目標は、WTO交渉を再開させるためにカンクン閣僚会議で発展させてきた枠組みを再びもとに戻すことである。我々は、より開かれた世界市場が発展することに協力するための戦略的な経済的機会(ビジネスチャンス)を有している。特に、農業、製品およびサービスについて野心的な改革を目標とすることがこの交渉の意義と考えている。

 現在多くの国が、カンクン閣僚会議が成功しなかったと認識しているようであるが、まだ多くの解決すべき困難を抱えている。147カ国が参加するWTO交渉において総意を得るのは困難な仕事であるが、一歩一歩それらの問題を絞り込み、それらが適切なバランスとなるように議論しなければならない。

 我々は、自由貿易のための問題の解決と進展方法を見出すためほかの国々と協力して取り組んで行く予定である。我が国は、相手国もまた農業補助金を削減し市場を開放する場合に限り、農業補助金などを大幅に削減することを提案している。例えば、EUとは、米国が食品の輸出信用プログラムに係る補助金を撤廃することによりEUの輸出補助金を撤廃するというEUの申し入れについて取り組んでいる。

 しかしながら我々は、交渉が再び軌道に乗るためだけの目的では取引に応じないつもりであり、ドーハ開発計画の約束に従って交渉を行い、農業、製品およびサービス分野において実体のある新たな貿易(市場アクセスの拡大)が開始されなければならない。

これまでの米国の交渉スタンスやFTAなどへの取り組みも強調

 また、ゼーリックUSTR代表が本年1月に、2004年を失われた年にしないようにと加盟国に書簡を送り、2月以降40を超える国・地域などと交渉のポイントなどについて協議してきたと述べている。加えて、特に農業分野が本交渉のポイントになることが明確であることから、本交渉における米国の包括的な農業貿易の改革に取り組む姿勢について、輸出補助金の廃止、全世界で年間1,000億ドル i11兆円、1ドル=111円)にも及ぶ貿易を歪曲する国内支持の削減、全世界の平均関税率を62%から15%へ削減を行うことを今回の声明に盛り込んでいる。

 一方、今回モロッコおよびオーストラリアと自由貿易協定(FTA)の合意について議会から承認され協定を締結することや米州自由貿易協定(FTAA)の合意は今後も米国にとっては優先課題であるとしている。さらに、「アフリカの発展と機会に関する法律(African Growth and Opportunity Act:AGOA)」が議会の承認を得たとしている。なお、AGOAは、西アフリカ諸国の経済発展のために免税特恵(Duty-free Preference)を与え、米国の市場アクセスを拡大することを目的とした法律である。

 このように米国は、WTO交渉でのグローバルな自由貿易へのアプローチとともに地域または国との自由貿易についてもこれまで以上に推進するとした声明となっている。

◎米国農務省、全国IDシステムに関する暫定的な飼養登録システムの開発を発表

 米国農務省動植物検査局(USDA/APHIS)は7月19日、全国個体識別システム(National Animal ID)に関する暫定的な飼養登録システムの開発について発表した。このシステムは、家畜がどこの農場・施設で飼養しているのかあるいは飼養する予定であるのかについての記録を管理するシステムでウイスコンシン畜産登録協会(Wisconsin Livestock Identification Consortium)が開発した。ディヘイブンAPHIS局長は、疾病の発生によって家畜を追跡する前に家畜の所在する農場・施設について正確に把握することが、このIDシステム構築の鍵になると述べた。APHISでは今後、この暫定的なシステムを全国的に展開する前に複数の州で試用し、システム上の問題点などを確認するとしている。


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