ケリー候補農業に関する選挙公約を公表 民主党の大統領候補であるケリー上院議員は、ウエブサイトに自らの農業に関する選挙公約を掲載した。小規模農家の利益の確保や現政権が抱える問題について改善を図るとしている。畜産関係の公約のうち主要なものは以下の通り。 集中および垂直的調整との戦い 近年、豚肉生産については約6割が、牛肉生産については約8割がそれぞれ大手4大パッカーの影響力の下にある。このような集中により、パッカーから独立した生産者がその生産物を市場に販売する機会が制限され、かつ、この十年間での垂直的調整の進展により問題は複雑なものとなっている。このため、小規模や家族経営の農業者を保護するため、パッカーによる家畜所有について調和の取れた制限や小規模農家への取引価格に関する差別の解消に努める。 地域内での食料供給システムの確立 地域内での食糧供給システムの確立により、農地の保全、地域の活性化、持続的な農業の実施などが期待される。このため、農業者による農産物の高付加価値化、地域内での消費者と生産者間での連携の強化、原産国表示(COOL)の推進などの政策を進める。 環境対策の強化 環境改善奨励計画(EQIP)による大規模畜産経営(CAFO)への補助への偏重が顕在化していることから、これを家族経営体優先に改める。より良い環境対策を促進するために家族経営体に対する新たな資金援助を行う。 米国の家族経営農家のための貿易 メキシコに対し北米地域自由貿易協定(NAFTA)の厳格な遵守を求める。関税制度上の隙間をぬって輸入されている高濃度乳脂製品問題の改善を図るため、関係関税法令を改正する。このほか、既存の貿易協定の見直しおよび市場開拓を推進する。 公衆衛生の増進と牛肉消費の安定 BSEの発生後、消費者保護策の改善が求められていることから、97年に開始された反すう動物への反すう動物由来たんぱく質の給与禁止が効果的に機能していたことを確認するためにサーベイランスを強化する。また、疾病発生時のトレースバックシステムの早期確立に努める。 AMIはパッカーの家畜所有規制に反発 アメリカ食肉協会(AMI)のボイル会長は23日、ケリー上院議員がパッカーによる家畜所有を規制する方針を公表したことについて、「パッカーは小売業者などから消費者の要 ≠ヨの対応を求められている。米国の産業の多くが品質の改善と消費者への要求のために垂直的調整や長期的な供給契約を結んでおり、ケリー候補のパッカーによる家畜所有規制支持は見当違いである。この種の保護主義は厳しい選挙運動においてわずかに得票に貢献するかも知れないが、米国経済の発展は世界市場での競争力にかかっており、農家は長期的な視点からすると大きなつけを払わされることとなる」と批判する声明を公表した。 斬新さを欠くケリーの農業公約 今回の大統領選挙の投票は11月2日に行われることとなっており、ケリー候補は選挙運動が佳境に入ったために農業に関する選挙公約を公表したものと考えられる。個々の政策は現行農政の抱える問題に焦点を当てているものの、農業政策提案としては斬新さを欠いているとの感が否めない。 |
元のページに戻る