2004年の牛肉輸出は激減、輸入は大幅増


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2004年輸出量は前年比81.7%減 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、2004年の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は前年に比べて81.7%減の20万9千トンとなった。米国でBSEが確認された2003年12月24日以降、61カ国で米国からの牛肉などに対し輸入停止措置が採られたため前年を大幅に下回った。輸出国をみると、同年における主要輸出国はメキシコとカナダのみで、メキシコ向けは前年比43.1%減の15万1千トン、カナダ向けは同75.5%減の2万5千トンとなった。

牛肉の国別輸出量(2004年)
資料:USDA/ERS「Livestock,Dairy and Poultry Outlook」


● ● ● 輸入量は前年比22.4%増 ● ● ●

 一方、2004年の牛肉輸入量は前年比22.4%増の166万9千トンと過去最高となった2002年をかなり大きく上回るものとなった。輸入国別にみると、豪州が50万7千トンと前年に比べ0.9%減とわずかに減少したものの第1位となっており、また、カナダが同43.5%増の48万2千トンと、これら2カ国で輸入量全体の約6割を占めた。その他では、ニュージーランドが同0.1%増の29万3千トン、ウルグアイが同約4倍の18万3千トン、ブラジルが同6.1%増の10万トン、アルゼンチンが同32.7%増の5万3千トンと南米諸国からの輸入量の増加が顕著であった。

 なお、2004年の生体牛輸出入については、輸入はほぼメキシコからのみで、前年比21.6%減の137万4千頭、輸出はカナダ、メキシコ向けを中心に同70.1%減の3万頭となった。

 このように2004年の牛肉輸出入は、(1)輸出各国での輸入停止措置が継続していること、(2)カナダからの生体牛の輸入停止措置が長期化していること、(3)国内の牛肉需要の拡大−などを背景に輸出量が激減する一方、輸入量は過去最高を記録するものとなった。

牛肉の国別輸入シェア(2004年)
資料:USDA/ERS「Livestock,Dairy and Poultry Outlook」


● ● ● 2005年も牛肉輸入は高水準 ● ● ●

 USDAによると、2004年の牛と畜頭数は3,273万頭と前年に比べて7.8%減とかなりの程度減少し、中でも乳牛と畜頭数の減少傾向は1959年以来最低なものであったとしている。しかし、このように牛肉供給が厳しい状況の中、2004年の牛肉平均小売価格(カットアウトバリュー、チョイス級)が前年比8.5%高の1ポンド当たり4.07ドル(1キログラム当たり951円、1ドル=106円)と高値で推移したものの、同年の1人当たり牛肉消費量は同1.7%増の29.9キログラムとなった。USDAによると、1人当たり牛肉消費量は2005年では同4.4%増の31.3キログラムとさらに拡大傾向で推移し、同年の牛肉輸入は2004年の記録的なものには及ばないものの高い水準で推移するものと見込まれている。


元のページに戻る