中国の穀物と飼料穀物需給


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 2005年は増産の見込み ● ● ●

 米国農務省/海外農業局(USDA/FAS)は中国の穀物需給に関する年次レポートを発表した。それによると2003年の穀物生産は収穫量の減少により価格が高騰したが2004年は収穫量も回復するとされ、トウモロコシと小麦の生産量が2004/05年度(7〜6月)では作付面積も拡大し記録的な収穫量となる見込みである。

 

● ● ● 農業課税の停止、直接支払いの開始 ● ● ●

 中国政府は、農業生産者に対し、2004年3月にそれまで農業生産物に対し課していた5%の農業税を、今後5年間の課税の停止を行うと公表した。2005年1月現在、25の省、自治区などでは農業生産物に対する課税を停止している。

 また、2004年から穀物生産者に対する直接支払制度を実施し、農地1ヘクタール当たり18米ドル(約1,908円、1米ドル=106円)または、1戸当たり平均9ドル(約954円)以下を支払った。直接支払いは2005年にはさらに予算の拡充が予想されている。

 中国は2002年にWTOに加盟したがその際の条件として農業分野の国内支持は生産高の8.5%以内とされていたが、2004年の直接支払いの予算は14億米ドル(約1,484億円)、生産高の2%にも満たない状況であるとされている。

 

● ● ● 飼料穀物の需給 ● ● ●

 2003年の秋から穀物価格は過去10年で初めて上昇し2004年のトウモロコシ、小麦、米の平均価格は2003年と比較しそれぞれ20、36、40%上昇している。このような穀物価格の上昇から作付面積の拡大を後押しした。2005/06年度はトウモロコシ、小麦、米とも作付面積は引き続き拡大するとされている。

 トウモロコシの2005/06年度の生産予測は、04/05年度同様、価格高と課税停止が各地での穀物生産へ向かわせるため作付面積が2,530〜2,450万ヘクタールが増加するものの、生産量は04/05年度より天候、収穫量が悪くなると仮定し800万トン減少し1億2,200万トンとなるとされる。

 中国の食肉生産量は過去5年間で年間平均3〜5%増加しているが、飼料用トウモロコシの消費は同様には伸びていない。ただし、小麦や米を含む他の穀物がトウモロコシの代用として使用されることは量的面からも難しく、ある調査によれば代替率はトウモロコシの飼料需要の5%にも満たないとされている、最近では魚粉など魚を原料とする高たんぱく質の原料への需要が高まっている。


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