欧州委、2005年の単一直接支払いの予算を公表


2005年からのデカップリング実施は10カ国

 欧州委員会は1月27日、2005年の単一直接支払い(SPS:Single Payment Scheme)の予算に関する規則(EC/118/2005)を官報に掲載した。

 EUは、2003年6月に合意した共通農業政策(CAP)改革において、これまで生産に応じて支払われた直接支払いから、生産とは切り離した単一の直接支払い(デカップリング)を創設した。このデカップリングは、本年1月1日から適用されている。なお、デカップリングの開始により、農業生産が放棄され地域への多大な影響が懸念されるなど特別な事情がある場合は、開始を2007年まで延期することができる。旧加盟国(EU15)のうち、本年からデカップリングを開始したのは、オーストリア、ベルギー、デンマーク、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、ポルトガル、スウェーデン、イギリスの10カ国であり、フィンランド、フランス、ギリシャ、オランダ、スペインの5カ国は、2006年からの実施となっている。

 

2005年の予算額は10カ国で157億3,490万ユーロ

 2005年からデカップリングを実施する10カ国の予算の総額は、157億3,490万ユーロ(約2兆2,028億8,600万円:1ユーロ=140円)となっている。国別に見ると、ドイツが最も大きく、51億4,800万ユーロ(約7,207億2,000万円)、次いでイギリスの36億9,753万ユーロ(約5,176億5,420万円)、イタリアの25億3,900万ユーロ(約3,554億600万円)、と続く。2005年は、従来の生産に応じた直接支払いを実施(カップリング)する5カ国の予算総額は、121億5,697万ユーロ(約1兆7,019億7,580万円)となっている。一方、2005年のEU15での直接支払いに関する予算総額は、278億9,186万ユーロ(約3兆9,048億6,040万円)となる。

 

オプションは8カ国で実施

 また、デカップリングの開始に際し、加盟国は作物別にこれまでの生産に応じた直接支払いの一部を継続できるオプションを選択できることとなっている。2005年から開始する10カ国のうち、アイルランドとルクセンブルグを除く8カ国において、このオプションを選択しており、加盟国ごと、作物ごとの予算限度額も規定された。

 オプションを選択できるものは、耕種作物、羊・ヤギ肉、牛肉・子牛肉に係る奨励金などであり、畜産関係の奨励金別の内容と実施国は次のとおりとなっている。

(1) 子付雌牛奨励金(Suckler cow premium)を各国の予算限度額100%までカップリングする。

 ・ベルギー、オーストリア、ポルトガル

(2) 特別雄牛奨励金(Special male premium)を同75%までカップリングする。

 ・デンマーク、スウェーデン

(3) 子牛以外のと畜奨励金(Slaughter premium)を同40%までカップリングする。         

 ・オーストリア、ポルトガル

(4) 子牛に対すると畜奨励金を同100%までカップリングする。

 ・ベルギー、オーストリア、ポルトガル

(5) 羊・ヤギ肉分野での奨励金を同50%までカップリングする。

 ・デンマーク、ポルトガル

 

加盟国内での地域主義は4カ国で実施

 SPSにおいては、加盟国内は、地域による相違があれば、予算限度内において、SPSの運用をいくつかに区分した地域別に実施すること(地域主義)ができることとなっている。本年からデカップリングを導入する10カ国のうち、地域主義を導入した国は、ベルギー、ドイツ、スウェーデン、イギリスの4カ国である。



◎欧州委、新たに7種のBSE検査キットを認可

 欧州委員会は2月16日、新たに7種のBSE迅速検査キット(試薬)を認可した。承認となった検査キットを加えると、同委員会が認めている検査キットは、12種となった。

 なお、検査キット名は以下のウエッブサイトで確認可能。

参考 欧州委員会ウェブサイト

http://europa.eu.int/comm/food/library/press011_en.pdf


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