冬穀物は平年水準、夏穀物は増加を予測
豪州農業資源経済局(ABARE)は2月15日、四半期ごとに発表している最新の穀物生産予測についての調査報告を発表した。
今回の報告では、04/05年度の夏穀物の生産量について、主要産地での作付面積の拡大を反映して増産を予測する一方で、すでに収穫が終わった冬穀物については、過去最高の収量を記録した前年度には及ばないものの、例年並みの水準を確保できるとしている。報告の概要は以下のとおり。
○ 冬穀物
2004/05年度の冬穀物収量についてABAREは、当初予測では過去最高を記録した前年度に比べ10%程度の減少としていた。しかし、収穫期前の10月に入り、主要産地である西オーストラリア(WA)州など南部沿岸地域を中心に降雨量が減少するなど気象条件が悪化したことから、最終的には当初予測を下回る前年度比22%減の3,149万トンとなった。しかしながら、過去5年間の水準で見れば、おおむね平年並みの生産を維持している。穀物主要3品目(小麦、大麦、カノーラ)の生産量は、前年度比21%減の2,833万トンが見込まれている。
04/05年度冬穀物の主要収量(速報値)
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(単位:万トン)
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○ 夏穀物
04/05年度の夏穀物については、米穀生産が作付け期の気温低下による育成の遅れから減少が予測される一方で、家畜の飼料として利用されるソルガム、また、綿実の作付面積が大幅に上昇したことにより、全体の生産量は前年度比13%増の393万トンを予測している。
04/05年度夏穀物の主要生産予測
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(単位:万トン)
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トラス農相、夏穀物のさらなる増産に期待
夏穀物の増産予測を受けて豪州連邦政府のトラス農相は歓迎の声明を出すとともに、「ニューサウスウェールズ(NSW)州北部やクインズランド(QLD)州南部の生産地域では、今後さらに十分な水供給が期待できることから、穀物生産はさらに上乗せできる可能性がある」と述べ、増産への期待を膨らませた。
一方、国内の飼料価格は、前年度の記録的な穀物生産の在庫に加え、冬穀物の収量が平年並みの水準となったことから、全体的に下げ基調で推移している。2005年1〜3月の飼料向け価格(シドニー市場)は、小麦がトン当たり182ドル(約15,470円:1豪ドル=85円)、大麦が同じく168ドル(約14,280円)と前年同期に比べそれぞれ13%、5%の下落となっている。
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