OIEガイドラインの疫学的調査を実施
カナダ食品検査庁(CFIA)は2月11日、カナダ国内で確認された同国産としては3例目(カナダ国内での発生としては4例目)のBSE陽性牛に関する調査結果を公表した。
CFIAでは、この牛は1月4日にカナダのBSEサーベイランスプログラムにおけるスクリーニング検査にかけられ、同月6日および7日のラピッドテスト(迅速検査)で陽性反応が出たため、ウィニペグにあるカナダのBSE確定機関にサンプルが運ばれ、11日にBSE陽性牛であると確定したとしている。この結果を受け、CFIAでは、当該牛の生産農場の特定を行うとともに国際獣疫事務局(OIE)のガイドラインに基づき、(1)当該牛が臨床症状を呈する以前の2年間に産んだ子牛、(2)当該牛の生産農場における出生集団(バースコフォート:当該牛出生の前後1年以内に生まれた牛)の同居牛、(3)当該牛に給与された飼料について疫学的調査を行ったとしている。調査結果の概要については次のとおり。
生存する同居牛のBSE検査はすべて陰性
今回の陽性牛は、アルバータ州インフェイルで1998年3月21日に生まれたシャロレー種の肉用雌牛であり、出生以降一貫して同じ農場で飼養されていた。当該牛は、体調不良による後肢の機能障害を呈したことにより、民間獣医師の診断を受けた後安楽死処分とされた。その後BSE検査のため、脳のサンプルを採取、検査機関に送付したとしている。
当該牛は、臨床症状を呈する以前の2年間で2頭の子牛を生産しており、1頭は既にと畜処分され、もう1頭については、安楽死処分した後焼却された。この牛の脳のサンプルは採取したものの、出生後1年未満であったため、BSE検査は行われなかった。また、出生集団は、349頭であることが判明した。このうち生存が確認された41頭については、BSE検査のため殺処分され、これらすべての牛について陰性の結果を得た。その他の牛については、出生から既に5〜7年を経過していることからほとんどがと畜されており、273頭がカナダ国内においてと畜され、32頭が出生農場で死亡していたことが確認された。なお、残りの3頭については、記録が不十分なため追跡不能と判断されたとしている。
給餌飼料に肉骨粉汚染の可能性を示唆
当該農場における飼料給与履歴に関しては、飼料製造工場、製造プロセス、販売業者および給与実態などについて詳細な調査を行った。この結果、幼少期において、子牛用飼料、餌付け飼料および2種類のミネラル栄養補助飼料の計4種類の市販の飼料原料が給与されていたことが判明した。これらの飼料の原料として反すう動物由来の肉骨粉(MBM)は原料として利用されていないが、反すう動物由来の肉骨紛による汚染の可能性は否定できないとしている。
CFIAは調査結果から、これら飼料の製造日の特定には至らなかったものの、レンダリング業者、飼料製造業者および卸・小売業者などが飼料規制に対応するためには多少の時間が必要であったとの認識を示しつつ、飼料規制直後に製造された飼料が、BSEの原因物質に汚染されていた可能性があるとしている。
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