新年度予算案は前年並み ジョハンズ米国農務長官は2月7日、二期目となったブッシュ政権としては初めての予算となる2006会計年度(2005年10月〜2006年9月)予算のうち米国農務省(USDA)所管分野の予算案の詳細を公表した。この予算案は、同日にブッシュ大統領が議会に提出した予算教書が国防・国土安全保障対策費以外の政策予算を対前年0.7%削減する緊縮型予算としたことを受け、対前年0.3%減の946億ドル(約10兆276億円、1ドル=106円)となっている。価格支持や所得補償プログラムの見直しによる歳出の抑制を図る一方で環境保護プログラムなどの強化が図られている。 USDAは、主要作物価格の上昇に伴い商品金融公社(CCC)による作物プログラムへの支出の削減が50億ドル(約5,300億円)見込まれるとしながら、今回の予算案を昨年並みに抑えるために、CCCのプログラムの見直しによりさらに年間5億8,700万ドル(約622億円)の支出抑制を提案している。具体的には、(1)一戸当たり支払い上限額を25万ドル(約2,650万円)へ引き下げ、(2)過去の生産量に基づくマーケティングローンの見直し、(3)作物および生乳への支払いを5%削減、(4)生乳価格支持に伴う支出の削減、・酪農収入損失契約プログラムの2年間の延長−などを提案している。このほか、作物収入保険についても、同保険による補償を手厚くする一方で運営に伴うコストを削減することなどを提案している。 BSE対策は引き続き強化 今次予算案ではBSE対策について、BSEのサーベイランスの実施および全国家畜個体識別システム(NAIS)の確立について予算を計上している。また、BSE関連の研究費として750万ドル(約7億9,500万円)を計上し、BSEに関する科学的知見の集積と規制当局が科学に立脚した政策や予防プログラムの基礎として必要になる研究を推進することを提案している。 国内食料援助、環境保全対策などは拡大 女性、乳幼児および子供向けの国内食糧援助プログラムについては、必要が見込まれる予算額を満額予算案に計上したとしている。 議会での反発が予想される今後の審議 今次予算案は予算の削減と重要事項への予算の重点化によりバランスを図ろうとするUSDAの努力がうかがえるものの、2002年農業法の議会での審議の過程では事実上不足払いの復活が行われるなど国内保護の強化が図られた経緯もあり、今後の予算の審議の過程では、酪農団体などによる巻き返しが予想される。
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