2 米国産牛肉を代替したのはまず、この1年半の日本の牛肉市場の変化を見てみよう。 米国産輸入停止前の2003年と後の2004年の日本の牛肉・豚肉の供給量を比べると、総量で見れば牛肉が13万トン減少し、豚肉が12万トン増加している。差し引き1万トンの不足となるが、2004年期首の米国産牛肉の在庫を考慮すれば、牛肉と豚肉を併せたレッドミートとしての供給量はほぼ同じと言える。(図1)
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3 乾いた大陸の牛肉生産(1)市場の要求に合わせた生産 ア 放牧主体の生産形態で、干ばつによる影響
イ 生産量の6割以上を輸出する輸出型産業 ウ 市場の要求に合わせた牛肉生産
(2)グレインフェッドが伸びる日本向け
この間の原産地価格は高水準で推移し、特に2004年8月から11月にかけては、生体価格が枝肉換算キログラム当たり350豪セント(301円:1豪ドル=86円)前後と高値が続いた。
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4 フィードロットの急拡大今年3月期に史上最高の飼養頭数を記録したフィードロットの現状と今後の見通しについて検討してみたい。
(3)2004年以降の急拡大
豪州には1万頭を超える規模のフィードロットが26カ所(2005年1月現在)あり、そのうち5万頭を超えるフィードロットは2カ所ある。大規模なフィードロットでは最大収容能力に近い頭数を飼養しており、増加したグレインフェッド牛肉の需要に応じるため、増頭余地は少なかったようだ。
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5 フィードロットは今後も拡大するか多くの人にフィードロットの今後の動向を聞いてみた。短期的な見通し、中・長期的にどこまで拡大するのか。その意見をまとめると次のとおりである。
その拡大は、当然、豪州産牛肉を受け入れる需要側のマーケットの伸びに規定されるが、ここでは、豪州がどれだけグレインフェッド牛肉を生産できるのかについて、考察してみる。
イ 穀物供給は不安定
そこで、フィードロットでの飼養頭数と穀物の必要量について簡単な試算をしてみる。1頭当たり1日10キログラムの穀物が必要とすれば、現状856千頭では3,124千トンの穀物が消費されていることとなる。逆に2002-03年の大干ばつ時の大麦とソルガムの生産量5,330千トンが輸出されずに、全量フィードロットで使用すると仮定すると1,460千頭を飼うことができる。(表5)
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6 フルセット・ジレンマ 米国産と比べた豪州産の不利な点は、グラスフェッドとフルセットと言われて久しい。前者については、フィードロットの拡大により、日本市場の好むグレインフェッドが増産され、課題は克服されつつある。
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7 豪州の懐の深さ 6月上旬、豪州の東部地区では多くの地域が政府によって「干ばつ地域」と指定されるなど、再び深刻な状況となっていた。NSW州内部の肉牛地帯では、「今年になって本格的な雨が一度も降らなかった」との話を聞き、放牧地での牧草がなく、道路に牛を放して、道端の草を与えている光景をよく見かけた。
追記 ○生産量 |
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