アルゼンチン農牧庁、ヒルトン枠の直接的な配分権限を手放す


SAGPyA長官、権限移譲の決議にサイン

 アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)が5月26日に公表したプレスリリースによれば、カンポス同長官は、同庁が所有していたヒルトン枠のパッカーへの配分権限などを国立農牧取引管理事業団(ONCCA)へ移譲することを定めた決議第394/2005号に署名した。

  アルゼンチンはEUから一定基準を満たす骨なし高級生鮮牛肉に関する関税割当制度(通称ヒルトン枠)により1カ年28,000トンを割り当てられているが、国内の食肉パッカーへの配分方法および数量はSAGPyAが決定してきた。

  しかし、利幅の大きいヒルトン枠を獲得するため食肉パッカーが訴訟を起こすなど問題が絶えず(「畜産の情報 海外編」2005年1月号p16〜17などを参照)、また配分数量をめぐり不正があったとしてカンポス長官などは訴えられていた。

 

ONCCAがすべてを管理する方向へ

 当プレスリリースによれば、今後ONCCAはヒルトン枠の全体管理、配分方法、割当数量を決定し、かつ従来の業務であったヒルトン枠に適合した食肉カットであるかの管理も引き続き実施することになる。ONCCAは組織上、SAGPyAに属しているが、食肉パッカーの脱税防止を目的に設立された独立性の強い機関であり、今回の改正ではその機関にヒルトン枠に関するすべての手続きを集中させることになる。なおSAGPyAは今後、委員会を組織し、それによりONCCAを総合的に管理する予定である。

 また、カンポス長官は今回の措置について、「ヒルトン枠の基準に適合する食肉カットであるか否かについてONCCAは、1年以上もEUから何らの指摘を受けることもなく業務を遂行してきており、またEU向け製品の品質管理および追跡性の保証について、EUから評価されているところである。今回の権限移譲により、効率性や透明性が一層増すことになるであろう」としている。

 この措置によりヒルトン枠をめぐる混乱が本当に収束していくのか注目されるところであるが、後日カンポス長官は新聞の取材に対し、「ヒルトン枠の管理についてSAGPyAは権限を移譲したが、最後の決定権、つまり署名するのは自分である」と回答している。なお、7月8日現在、決議はまだ公布されていない。


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