中国、大幅に増加する生体牛輸入


2005年の生体牛輸入、前年比25%増加の見込み

 中国が輸入する生体牛頭数が増加している。米国農務省(USDA)によると、2004年1〜11月に中国が輸入した生体牛の頭数は、前年同期と比べて約3.3倍の11万8千頭と大幅に増加した。また、2005年も前年比で25%の増加となる15万頭の輸入が見込まれるとしている。

 近年の中国の国内総生産(GDP)は、一昨年、昨年と二年連続で9%台の成長を続けており、今年第1四半期も9.4%と高水準で推移した。中国では、こうした経済成長に伴う所得の増加や食生活レベルの向上から、食肉や乳製品の需要が増大する傾向にある。



農業部、優良品種導入の重要性を示唆

 中国においては、肉牛産業部門の最優先課題の一つを肉牛と乳牛の改良に置いており、こうした海外からの生体牛の多くは改良目的で輸入されたものである。

 中国農業部はこのほど、同国の畜産業におけるいくつかの問題点を示し、その中で牛をはじめとした優良品種の普及率が低いことを挙げている。農業部は、そうした状況を改善するため、2005年から優良品種の繁殖を重点的に行うとしており、試験地域として黒龍江省、内モンゴル自治区、河北省および山西省を指定し、優良品種の増殖および普及に取り組むとしている。



生体牛輸出も増加

 一方、中国からの生体牛の輸出も増加しており、USDAによると、2005年は前年比30.9%増の7万2千頭と大幅に増加する見通しである。これは、近年、カナダや米国においてBSEが発生したことから、北米から牛肉を輸入していた国々の一部が生体牛や牛肉の輸入先を中国に振り替えた影響もあるとされている。



今後も続くとみられる生体牛の輸入増

 中国は、2005年から2015年までの中長期的な食肉生産計画の中で、牛肉およびマトンの生産量を990万トンから1,350万トンに増加させる目標を掲げている。現在、食肉生産における生産割合は国民が最も好む豚肉に大きく偏っているが、今後は牛肉やマトンの割合の増加を目指すとしている。2005年の牛肉・マトンおよび豚肉の生産割合である14.1%、65.0%から、2015年にはそれぞれ15.0%、62.0%と全体に占める豚肉の割合を減らし、逆に牛肉・マトンの割合を高めて行く計画となっている。

 また、中国では、2004年前半に鳥インフルエンザが発生したことから、鶏肉の需要が減退し、ほかの食肉へのシフトが進んでいるとも言われている。従って、乳製品や牛肉の需要増大に追い風が吹いている状態であり、生体牛の輸入は今後も増加するものと思われる。


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