米農務長官はOIEの努力を歓迎 ジョハンズ米国農務長官は5月26日、パリで5月22日から27日まで開催されていた第73回国際獣疫事務局(OIE)総会におけるBSEコードの見直しの議論について、最近の科学を反映しつつBSEの基準を改正し、牛肉製品の安全な貿易を近代化しようとする国際的に最適な取り組みにおけるOIEの指導力を歓迎するなどの声明を公表した。
議論を正確に把握した発言かは不明 OIEの総会では最終日である27日、わが国などからの提案を踏まえ、骨なし部分肉の無条件物品への追加に際しては、(1)BSE患畜やその疑いのある牛由来ではないこと、(2)特定危険部位(SRM)による汚染防止措置が講じられていること、(3)30カ月齢以下の牛のものであることの3つの条件が新たに追加された。特に、「BSE患畜やその疑いのある牛由来ではないこと」との条件は、輸出国が自国内の特定の牛群についてBSEの清浄性を保証することを求めるものであり、BSE非清浄国にとってこの挙証責任は重いものと考えられる。このため、同農務長官の声明がOIEにおける議論を正確に把握した上で行われたものかは不明である。
米国牧場主・肉用牛生産者行動法律財団(R-Calf)は5月31日、今回のOIEの総会でBSEリスクに応じた国のカテゴリーの簡素化が行われ、従来の5区分から、(1)無視できるリスクの国、(2)管理されているリスクの国、(3)不明なリスクの国の3区分に簡略化されたことに関連し、「OIEがこの区分の見直しをBSE発生国からの輸出に際してより少ない保護措置が講じられるべきとの信念によるものであるならば、OIEの後退を意味するものであり、貿易の促進と同時に基礎的な衛生と安全性の基準を保障するという同事務局の使命にそぐわない。」とする声明を公表した。
注目される米国の今後の対応 今回のOIE総会では、SRMについて、従来の「腸全体」ではなく、「回腸遠位部」に限定するなどのコード改正も採択された。しかし、米国の現在のBSEに関する暫定規則では「小腸全体」がSRMとされている。本件については、5月24日から27日の日程でワシントンD.C.内で開催された米国食肉輸出連合(USMEF)の定期会合でも、参加者から米国農務省(USDA)に対し、日本は非科学的と非難するが小腸全体をSRMと指定する科学的根拠は何かとの質問が行われるなど、台湾などが米国産牛肉の輸入再開を発表する中で、米国内の食肉加工業者の間では内臓の輸出再開に向けて米国内でのSRMの定義の見直しを求める声が引き続き大きい状況にある。このため、米国が同規則を最終的に改正する過程において、どのように今回のOIEコードの見直しを反映させていくのか興味深い。 |
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