上昇傾向が続く2005年の牛枝肉価格


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 牛枝肉卸売価格の上昇傾向続く ● ● ●

 欧州家畜食肉取引業者連盟(UECBV)が公表したEU15カ国における2005年9月の雄牛(2歳齢以下の非去勢牛:グレードR2とR3の加重平均)および去勢牛(グレードR3とR4の加重平均)の100キログラム当たりの枝肉卸売価格はそれぞれ、前年比4.8%高の288.8ユーロ(40,432円:1ユーロ=140円)、同4.4%安の262.6ユーロ(36,764円)となった。

 雄牛枝肉価格は2004年9月以降前年を上回っており、今年1〜9月の平均枝肉価格は100キログラム当たり前年同期比7.6%高の290.8ユーロ(40,712円)とかなりの程度上昇した。一方、2003年11月以降前年を上回っていた去勢牛枝肉価格も、直近の2005年7〜9月は前年を下回ったものの、1〜9月の平均枝肉価格でみると前年同期比1.5%高の284.4ユーロ(39,816円)と高値傾向を維持している。

牛枝肉卸売価格の推移

資料:UECBV


● ● ● 牛枝肉卸売価格の上昇傾向続く ● ● ●

 一方、イギリス食肉家畜委員会(MLC)が毎月公表する主要牛肉生産国の肥育牛枝肉価格も同様の傾向を示している。2005年1〜8月の100キログラム当たりの肥育牛平均枝肉価格は、EUにおいて最大の牛肉生産国のフランスが前年同期比9.0%高の290.9ポンド(60,798円:1ポンド=209円)、第2位のドイツが同17.1%高の297.9ポンド(62,261円)、第3位のイタリアが5.2%高の316.0ポンド(66,044円)といずれも上昇している。

 なお、これらとは逆に第4位のイギリスの牛肉価格が下落しているのは、30カ月齢以上の牛の処分対策(OTMS)が本年中には解除されるのではないかという気配が高まっていたことから、牛肉の流通量が短期的には増加するという予測が織り込まれているものと思われる。

主要生産国の肥育牛枝肉価格

資料:MLC


● ● ● 牛肉消費量の回復などが要因 ● ● ●

 こうした牛枝肉価格の上昇傾向の要因としては、域内の牛肉生産が減少傾向で推移していることが挙げられる。欧州委員会は先ごろ、EU15カ国の2005年の牛肉生産は744万トンと2004年に比べて2.5%減少すると予測している。

 また、BSEの発生で落ち込んでいた牛肉消費が、近年は急速に回復していることも牛肉価格の上昇の大きな要因の一つになっているものと思われる。欧州統計局(EUROSTAT)によると、EU15カ国の一人当たりの牛肉消費量は、2000年にフランスでBSE患畜が急増したことやドイツ、スペインで初めてBSE患畜が確認されたことから、2001年には17.9キログラムと史上最低を記録した。しかし、加盟国政府の各種BSE対策によりその後は上昇に転じており、2002年は前年比10.6%増の19.8キログラム、2003年には同2.0%増の20.2キログラムへ回復している。


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