ボリビアの畜産地域を訪ねて(サンタクルス)
〜ExpoCruz2005を中心に〜



ひとくちMemo

 ボリビアのサンタクルス県は、全国牛飼養頭数731万頭(2004年推定値)のうち28.8%の210万頭が飼養されている、ベニ県(323万頭)に次ぐ国内第2位の牛の主要産地である。またボリビア農牧衛生当局(SENASAG)が2005年8月に国内衛生ステータスとして口蹄疫ワクチン接種清浄地域と宣言し、今後、国際獣疫事務局(OIE)における国際ステータスを取得しようと考えている地域でもある。

ボリビアと言えば首都ラパスが標高3,640mにあるため、全体的に高地に位置しているイメージがあるようだが、サンタクルス市は標高416mと低く、そして温暖な気候であり牛の飼養に適していると言えよう。

なお2005年7月号グラビア「ゼブーの最大のお祭り(ブラジル)」(http://lin.alic.go.jp/alic/month/fore/2005/jul/gravure. htm)の中で、「インターナショナルスタンド」を紹介したが、ここにはボリビアからの留学生も案内役として一役買っていた。彼らは、ボリビアゼブー生産者協会(ASOCEBU)とブラジルゼブー生産者協会(ABCZ)が提携している留学生制度により勉強に来ているのだ。

そんな彼らに、「ExpoCruzという催しがあることを知った」と言ったところ、「ぜひ、Expoを訪問して欲しい。その際にはASOCEBUに連絡されたい」とのことだったので、今回はそのExpoCruz2005を訪問してみた。


ボリビアの口蹄疫に関する衛生状況

黄緑:
SENASAGが承認したワクチン接種清浄地域

緑:
OIEが承認したワクチン接種清浄地域。


(開会式風景)
テープカットには、市長、東部農牧協会会長などが参加した。
(開会式場)
実際の開会式は夜8時から

 ExpoCruz会場内のASOCEBUの事務所。

 催し物がある場合に利用される。


ASOCEBU会長のOscar Bowles氏。

 ASOCEBUは、サンタクルス県で飼養される約200万頭のうち純粋種6万頭が血統登録されている。そしてそのうち90%がネロー、ネローレモッショで、他に割合は少ないがブラーマンやギルなどが登録されている。

(牛の待機場)審査を待っている。ネローレ種が大勢を占めていた。

(審査風景)
 ブラジルで見たExpoZebuの審査風景と似ている。Oscar会長から紹介してもらった日系のChibanaさん(下の写真)によれば、「ExpoZebuのミニチュア版と考えてもらえば良い」とのことであった。


(評価)
 上位に入った牛について、審査員が評価したポイントを解説してくれるが、この部門の解説時はポルトガル語だった。

 ボリビア自体には審査員登録制度はないため、審査員はABCZに登録している。よって、当然、審査員にはボリビア人もいるが、ブラジルからも審査員を招いているとのこと。

 前出のChibanaさんいわく、「小さい街なので、皆顔見知り。そのためブラジル人に解説してもらった方が、「自分の牛の方が上だったぞ」などと、後日言われなくて済む」そうだ。

(競売風景)
開会式の当日夜に開催された競売。セリ人の後ろの掲示板の金額は、10回払いの1回分を示している。よって、支払い金額は1,600ドルということ。

 われわれの隣席。競っていたが競り返されたところ。ここで、会場係はさらに競り返させるため、雰囲気を盛り上げにやって来た。



(パビリオン内)Expo会場内には多くのパビリオンが存在し、その中に食品、手芸、工芸、電化製品などさまざまな分野が出店している。その中で、鶏製品(肉や卵)を販売している店にはヒヨコがいて、目を引いた。
 また、向かいの店では、アルゼンチンの乳業メーカー「SanCor」の製品も展示されており、アルゼンチンを出て数日しかたっていないのに、異国で出会えて懐かしく感じた。

○サンタクルス市内を離れて!


(CETABOL)
 国際協力機構(JICA)のボリビア農牧技術センター(CETABOL)(http://www.cetabol.cotasnet.com.bo/)を訪問。
サンタクルス市から北東に70km向かうとオキナワ移住地の入口に着く。オキナワ移住地は、サンタクルス市から近い順に第三、第二、第一とあり、CETABOLは第二移住地内にある。

 
 地元の農業振興のためさまざまな活動を行っているが、畜産関係では優良種雄牛の貸付け事業や単位面積当たり収益を向上させるための農牧複合生産システムの普及促進−などを実施している。

 なおCETABOLの管理運営は、日系農協2団体が共同で設立する受け皿機関に、2010年に移管される予定となっている

(養鶏場)
 サンタクルス県は、ボリビアの鶏卵生産量7億5,580万個(2000年)のうち5億5,988万個、74%を占める大生産地だ。

 養鶏業はもう一つの日本人移住地(サンファン移住地)の方が盛んとのことであったが、今回はオキナワ移住地で紹介してもらった。

 近年は不景気のため1万羽飼養できる鶏舎には、6千羽程度しか入っていないとのこと。
 なお、配合飼料の中に見える緑の点は、ニラである。
ブエノスアイレス駐在員事務所 犬塚 明伸、 横打 友恵

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