トウモロコシ輸出における米国と中国の動き


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 世界のトウモロコシ輸入量は停滞するも、米国の輸出量は高水準 ● ● ●

 米国農務省(USDA)の発表によると、世界の2005/06年度のトウモロコシ貿易量は76百万トンとのことで、停滞傾向が見込まれるとのことである。また、輸出国側に変化が見られ、中国、ブラジルの輸出減が見込まれている。アルゼンチンは、依然、米国に次ぐ輸出量を維持しているが、今後、国内生産減が見込まれることから輸出量は減少するとの観測である。このため、世界貿易量に占める米国の輸出割合は高まり、2005/06年度の輸出量は前年度から10ポイント増加の68%と7年ぶりに高い水準になるとのことである。

トウモロコシ主要国別輸出量

資料 Foreign Agricultural Service


● ● ● 輸出量が減少している中国のトウモロコシ ● ● ●

 中国の2005/06年度のトウモロコシ生産量は、過度の降雨が病気と害虫を助長したことや吉林省で予想したほどトウモロコシの受粉が良くなかったとのことで、豊作であった昨年を下回るが、高水準である126百万トンになるとのことである。中国は2002年11月の第16回党大会において「2020年のGDPを2000年の4倍増とする」との目標を提示しており、最近の目覚ましい経済成長と同様、トウモロコシの需要量は右肩上がりで伸びている。2000年以降、需要量は生産量を上回っており、2005/06年度においては800百万トン上回ると見込まれ、期末在庫は6年連続して、輸出量は3年連続しての減少である。

中国におけるトウモロコシの需給と一人当たりのGDP額

資料 Foreign Agricultural Service, 外務省


● ● ● 生産量を増加する米国の燃料エタノール生産 ● ● ●

 7月の米国燃料エタノール生産量は、記録的となる336百万ガロン(1ガロン3.785リットル換算:約127万キロリットル)を生産したとのことである。原油価格の高騰から、燃料エタノール価格は堅調に推移しており、業界の話によると、十分利益を生んでいるとのことである。

 一方、8月8日に米国でエネルギー法が施行され、この法律では、2012年までにバイオ燃料(再生可能燃料)生産を75億ガロン/年(約2,839万キロリットル)にするとしている。仮にトウモロコシでこの生産量を賄った場合、1ブッシェル当たり2.7〜2.8ガロンの燃料エタノールを生産するとのことから、約28億ブッシェル(約69百万トン)相当のトウモロコシが必要となる。これは現在の燃料エタノール向けトウモロコシ数量の約2倍、日本向け輸出量の約4倍であり、これが現在実行されたならば、米国が輸出できる数量は日本向け程度しか残らないことになる。なお、日本が輸入するトウモロコシの9割以上は米国からである。

トウモロコシの米国生産量、輸出量、燃料エタノール向け数量および日本輸入量

資料 Foreign Agricultural Service, Economic Research Service

エネルギー法(8月8日施行)における再生可能燃料の目標生産量


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