干ばつ以降の乳牛飼養頭数と穀物生産量


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 乳牛飼養頭数、泌乳量、ともにわずかな増加を予測 ● ● ●

 豪州農業資源経済局(ABARE)が四半期ごとに行っている農産品需給予測によると、2005/06年度(2005年7月〜2006年6月)の乳牛飼養頭数は204万5千頭で、前年度比0.2%増となり、2002/03年度の干ばつ以降回復の遅れていた乳牛飼養頭数はわずかな増加を見込んでいる。また、1頭当たりの泌乳量も前年度比0.8%増の5,001リットルと予測している。増加予測の要因として、ABAREでは気象条件の回復による牧草の生育状況改善と穀物価格の下落を挙げている。

乳牛飼養頭数と生乳生産量

資料:ABARE


● ● ● 平年以上の降雨量により、来期の穀物は安定の見込み ● ● ●

 ABAREによると、2005/06年度の小麦価格は前年度比3.5%高のトン当たり205豪ドル(18,245円:1豪ドル=89円)を見込んでいる。小麦価格は、2005年に入り、干ばつ化の懸念で徐々に値を上げ、2005年7月にトン当たり230豪ドル(20,470円)の高値をつけた。その後、天候要因の回復により徐々に値を下げ、8月の半ばには2001年以降、最も安いトン当たり196豪ドル(17,444円)まで下落している。今後も天候に恵まれた場合、2004/05年度の平均価格、トン当たり195豪ドル(17,355円)を下回る可能性もあるとしている。穀物の作付け期である5、6月に西オーストラリアでの降雨量が平年を上回り、6月後半は他の穀物地帯でも平年以上の降水量に恵まれたことで、2005/06年度の小麦生産量は前年度比3%とやや減少するものの、大麦生産量は前年度比1.5%増と、穀物全体としては安定した生産量を予測している。

冬穀物生産量

資料:ABARE
注:2005/06年度は予測値


● ● ● 干ばつからの回復にはまだ時間要する ● ● ●

 穀物価格が下落傾向にあることや、乳牛飼養頭数の回復を背景に、生乳生産量は徐々に回復してきているが、輸出拠点でもあり生乳生産の過半数を占めるビクトリア(VIC)州の2004/05年度の生乳生産量は661万キロリットルと、依然、干ばつ発生前の2001/02年度の生産量741万キロリットルを大きく下回っている。豪州全体でみても2004/05年度の総生産量1,013万キロリットルに対して、2001/02年度は1,127万キロリットル、2005/06年度でも1,023万キロリットルとなっており、干ばつからの回復にはまだ時間がかかると言える。


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