バター域内価格は下落傾向も、国際価格は高水準を維持


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2004年のバター生産量、前年比3.8%減 ● ● ●

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)が発表したEU25カ国における2004年(速報値)のバター生産量は、前年比3.8%減の194万5千トンとやや減少した。近年のEU25カ国のバター生産量は、200万トン前後を維持しているものの、2002年をピークとして減少傾向で推移している。

 生産動向を国別に見ると、EU15カ国では第1位のドイツが前年比1.7%減の44万4千トン、第2位のフランスが同4.1%減の41万8千トン、第3位のアイルランドが同2.7%減の14万4千トンといずれも減少している。一方、新規加盟国(NMS)もエストニア以外は軒並み前年を下回ったが、減少幅はEU15カ国のそれ以下の同2.9%にとどまった。

 なお、EU15カ国における2005年上半期の生産量は前年同期比2.4%増の88万7千トンと増加に転じていることから、通年では3年ぶりに前年を上回る可能性もある。

EUのバター生産量

資料:ZMP


● ● ● 域内価格は2004年6月以降、前年同月を下回る ● ● ●

 ZMPによると、指標価格の一つであるオランダブランドバターの10月の価格は、前年同月比9.9%安の100キログラム当たり272ユーロ(3万8千円:1ユーロ=140円)と最安値を更新した。当該価格は2004年6月以降前年同月を下回っており、その下落幅は次第に大きくなる傾向にある。

 価格下落の背景としては、今年に入って冷涼な気候が続いていることでバター生産が増加に転じていることや、チーズなどの高付加価値製品との競合が激化していることなどが挙げられる。


● ● ● 世界的な需要の高まりで上昇する国際価格 ● ● ●

 一方、バターの国際価格は、世界的な需要の増大を背景として上昇傾向にある。8月のバターの国際価格は、前年同月比5.1%高の1トン当たり2,050ドル(24万円:1ドル=117円)となった。

 EUでは、国際競争力を維持するとともに輸出を促進するため、バターや脱脂粉乳、チーズなどの輸出に対して輸出補助金が交付されている。しかし、本年度、欧州委員会の農畜産業に仕向けられる予算額が大幅に削減されたことから、乳製品の輸出補助金単価は大きく引き下げられる展開となっている。バターに関しては、5月までの100キログラム当たり129ユーロ(1万8千円)から、同97ユーロ(1万4千円)へ大幅に削減されており、その後も小幅ながら削減が続いていることから、輸出の減少により国際価格は高水準を維持することが予想される。

バターの域内価格と国際価格の推移

資料:ZMP
 注:バターの域内価格は、オランダのブランドバター価格


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