EU、イギリス産牛肉の輸出解禁に向け前進


FVO、イギリスのBSE対策調査報告書を発表

 EU食品獣医局(FVO)は9月28日、本年6月6〜15日に実施したイギリスでのBSE対策の調査報告書を発表した。

 この調査は、イギリスで実施されているBSE対策を評価するもので、特に受動的・能動的監視、特定危険部位(SRM)の除去およびその取り扱い、動物性たんぱく質の飼料給与禁止措置(フィードバン)、牛の個体識別および登録のためのシステムについて調査が行われた。また、2004年4〜5月に実施した前回のFVOの調査で指摘があった事項のフォローアップが行われているかについても調査している。

 今回の報告書では、ほとんどの分野で満足のいく経過であると結論付けている。


イギリスに対する輸出禁止措置

 イギリスからの生きた牛およびすべての牛肉製品の輸出禁止は、BSEが牛肉摂取を通じ人にも感染する可能性が発表されたことによる第1次BSEクライシス後、同国がほかのEU加盟国よりBSE患畜の割合がはるかに高いとして96年3月に導入された。この措置が取られるまでは、89年以降、特定の生きた牛の輸出のみが禁止されていた。

 いくつかのBSE対策の結果、同国産の牛肉・牛肉製品の加盟国および第三国への輸出が99年8月より認められた。この措置は、生年月日に基づく輸出措置(DBES)と呼ばれ、96年8月1日以降に生まれた牛から生産された牛肉であり、と畜月齢が6カ月齢から30カ月齢かつ除骨されていることなどの非常に厳しい要件が付されており、同国からの牛肉などの輸出は制限されたものとなっている。


輸出解禁の議論開始のための条件をクリア

 今回の報告書に関してキプリアヌ委員(保健・消費者保護担当)は、「今回の良い結果の報告書により、欧州委員会が発表したTSE指針(Roadmap)で設定したイギリスからの牛肉輸出解禁に関する2つの条件を満たしたことになる」とコメントしている。「TSE指針」では、イギリスからの牛肉輸出解禁について議論を始めるためには、国際獣疫事務局(OIE)が定義する中リスク国の条件である「BSE患畜が成牛百万頭につき200頭を下回ること」および「2005年6月のFVOの検査で好ましい結果を得ること」が必要であるとしていた。なお、欧州食品安全機関(EFSA)は2005年3月10日、同国の成牛百万頭につきBSE患畜は200頭を下回っていることを確認している。

 輸出解禁までの日程について、欧州委員会の報道官は、「作業がどのくらいかかるかはっきり示すことは難しい」とコメントしている。


報告書の検査結果の概要

 今回の報告書にある検査結果の概要は以下のとおり。

・牛の個体識別および登録のためのシステムは、BSE監視を管理するための良いサポートとなっている。農場での登録に関しては、改善の必要がある個所が見られた。

・受動的監視プログラムと研究所での検査の関係は満足いくものである。

・能動的監視プログラムは機能しており、適切な動物の選抜が行われている。農場での死亡牛の検査をさらに改善する必要がある。またサンプルのための動物の情報をと畜する前に十分に確認する必要がある。

・同一群のとうたは、満足のいくものである。また、BSE患畜の移動を制限する手順は、伝達性海綿状脳症(TSE)規則に従っている。

・96年8月より前に生まれたBSE患畜との同一群からの皮の処分について追跡できなかった。

・フィードバンについては、前回の指摘を踏まえ、かなりの進展が見られている。

・同一施設内で、反すう動物と反すう動物以外を飼養する農場で、魚粉のミキサーを使用する承認手続きに関して不十分なものが見られた。

 SRMの処分については、前回の指摘を踏まえ、かなりの進展が見られている。ただし、農場段階では必ずしも畜産副産物に関する規則(EC/1774/2002)に従っているとは限らないものが見られた。


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