ブラジル中西部のMS州で口蹄疫が発生


OIEはワクチン接種清浄地域のステータスを保留

 ブラジル農務省(MAPA)は10月10日、口蹄疫ワクチン接種清浄地域であるマットグロッソドスル(MS)州南部のエルドラド郡において口蹄疫(血清型O) 発生が確認されたことを公表し、その後11月4日までに同州内で発生が確認された件数は合計22件となっている。(海外駐在員トピックス(http://www.alic.go.jp/livestock/repnews/repnews.html)で既報)

 なお、国際獣疫事務局(OIE)は、ブラジル政府からの通報を受け、MS州に与えていたワクチン接種清浄地域のステータスを9月30日から保留し、北部のトカンチンス州、南東部のミナスジェライス州、リオデジャネイロ州、エスピリトサント州、北東部のバイア州およびセルジッペ州のステータスも保留した。また10月21日にはパラナ州での口蹄疫発生の疑いのため、パラナ(PR)州、サンパウロ(SP)州、ゴイアス州、マットグロッソ州と連邦区の同ステータスが保留された。


食肉輸入停止は30カ国以上に上る

 MAPAによると11月8日現在、口蹄疫発生を受けてブラジル産食肉の輸入を一部または全面的に停止したのは49カ国に上る。

 この中で、EUはMS州に加え、隣接するSP州およびPR州の3州からの輸入を停止しているが、口蹄疫発生前の1〜9月のEU向け牛肉輸出額(冷蔵、冷凍肉)は、総輸出額19億3千万ドル(2,258億円:1ドル=117円)の約3割に当たる6億400万ドル(707億円)と大きく、3州の輸入停止とした影響が注目される。また、EUとともに重要な市場であるロシアについては、MS州の食肉(牛、水牛、豚、ヤギ、羊および鶏)すべての輸出を停止しているなど、輸出への影響は大きく、今年の目標としてきた食肉全体で80億ドル以上の輸出額の達成が危ぶまれている。


口蹄疫の補償などに3千300レアルを投入

 また、MAPAは10月26日、口蹄疫発生地域に対し、3千300万レアル(17億1,600万円:1レアル=52円)を補償金などとして投入する暫定令を公布することを発表した。これによると家畜の殺処分を行った生産者に対し2千万レアル(10億4千万円)、小規模生産者向け、特に生乳生産者に600万レアル(3億1,200万円)、経営の維持および投資に600万レアル(うち300万レアル(1億5,600万円)が国境地域を対象)、残り100レアル(5,200万円)がその他経費に充当される。なお、11月10日にはこのうち、小規模(家族)生産者1,600世帯に対して、1世帯当たり300レアル(1万6千円)の食糧補助金を3カ月支給し、さらに衛生緊急事態が続けば、3カ月の延長も認めることが決定された。


発生地域のパッカーは他州に生産を移動

 現地報道によれば、MS州にある多くの食肉パッカーが輸入停止措置を受けていない州に生産態勢を移している。ブラジル最大手のパッカーであるFriboi社はMS州での生産をゴイアス、マットグロッソ、ミナスジェライス、ロンドニア各州にある工場に移し、MS州にある工場の操業は実質的に停止している。

 なお、11月時点で全国農業連盟(CNA)は、今回の口蹄疫発生による輸出停止により、2005年の農畜産部門で2千万レアル(10億4千万円)の損失が見込まれるとしている。


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