ブラジル、初めて養鶏・養豚のコスト調査を実施


調査対象は主要生産州の10州

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)とブラジル農牧研究公社(Embrapa)は、養鶏・養豚の主要生産州10州における生産コスト調査を初めて実施し、その結果を9月22日に公表した。

 調査対象州は、

・南部の3州:リオグランデドスル(RS)、サンタカタリナ(SC)、パラナ(PR)

・南東部の2州:サンパウロ(SP)、ミナスジェライス(MG)

・中西部の3州:マットグロッソ(MT)、マットグロッソドスル(MS)、ゴイアス(GO)

・北東部の2州:ペルナンブコ(PE)、セアラ(CE)

となっており、5〜7月の月ごとのデータが公表されている。


○養鶏のコスト

 養鶏の場合、インテグレーション下にある肉用鶏の生産について、温度などの調整システム別に、(1)手動型(Manual:給餌・給水、温度調整などを人力で実施)、(2)自動型(Automtico:給餌・給水、温度調節などを機械・動力を用いて実施)、(3)全天候型(Climatizado:給餌・給水、温度・湿度調整などを全自動で実施)の3つのタイプに分け、固定費(施設および機材の減価償却など)および変動費(敷料、光熱水道費、資材費、労働費、メンテナンス費、保険費、ひな費、飼料費、動物医薬品費、輸送費、技術指導費、租税)を調査している。

 調査結果として例えば7月におけるキログラム当たりの生産コストは、インテグレーション下で一般的タイプと言われる(2)で見た場合、最小がMT州の1.21レアル(約63円:1レアル=52円)、最大がPE州の1.98レアル(約103円)となっている。またこのデータを分析してみるとPE州は飼料コストが高いことが分かるが、これはトウモロコシなどを州外または国外から調達してくるためと推察される。

 一方、同調査で一緒に公表された7月における生体のキログラム当たり販売価格は、MT州が2.00レアル(約104円)、PE州が1.70レアル(約88円)となっており、PE州では生産コストが上回ることになっている。しかし、この点についてCONABは何も解説していないため、生産者はどのように利益を確保するかは不明である。

 また、ブラジル最大の生産州であるPR州の生産コストは同1.40レアル(約73円)となっているが、同販売価格は1.36レアル(約71円)でややコストが上回っている。また第2位のSC州は同1.63レアル(約85円)、第3位のRS州は1.38レアル(約72円)となっている。

 なおCONABはこの調査結果について「トウモロコシおよびその他飼料、そして生体について、価格的なバランスを取る手段にこれらデータを用いることができる。例えば生体キログラム当たりの販売価格を1.45レアル(約76円)とすると、生産者はトウモロコシ60キログラム袋に17.10レアル(約889円)支払っても利益を得ることができる」と話している。


○養豚のコスト

 養豚の調査項目は、養鶏の場合とほぼ同様で固定費と変動費に区分して調査されている。

 7月におけるキログラム当たりの生産コストを見てみると、最小がMS州の1.53レアル(約80円)、最大がPE州の2.47レアル(約128円)となっており、また生体のキログラム当たりの販売価格がMS州は2.00レアル(約104円)、PE州が1.80(約94円)となっており、コストが高いと利益がない試算は、養鶏と同様の状況となっている。また最大生産州であるSC州が1.81レアル(約94円)、第2位のRS州が1.95レアル(約101円)、第3位のPR州が1.64レアル(約85円)となっている。

ブラジルにおける養鶏・養豚のコスト(2005年7月時点)

調査結果をトウモロコシ供給政策に反映

 なおCONABは「今回の調査によって生産者は、調査対象州における養鶏・養豚の生産コストを知ることができ、また調査結果をベースに政府は、鶏・豚・乳牛の飼料の6割を占めるトウモロコシの供給政策を定めることが可能になる」とコメントしている。


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