アセアン農相会合(AMAF)開催


アセアン農相会合開催

 9月29〜30日に、フィリピンの首都マニラ近郊で第27回アセアン農相会合(AMAF)および第5回AMAFプラス3(日本、中国、韓国)会合が開催された。

 29日に開かれたAMAF会合では、2020年を目標とするアセアン加盟各国の協力体制を規定したビエンチャン行動計画の支持を確認するとともに、主に農業関連の域内協力体制について意見交換され、農業分野におけるいくつかの共同声明が採択された。

 これらの会合で合意され、現在取りまとめられている具体的行動計画は、今年12月に開催が予定されているアセアン全体会合で公表されることとされた。なお次回両会合は2006年にシンガポールで開催される予定。


AI対策本部設置へ

 アセアン事務局の公表によると、昨年の前回会合でシンガポールから提案のあった高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)特別対策本部を正式に立ち上げることで各国の合意が得られたとされた。対策本部の活動としては2006年から2008年までの3年間でアセアン地域における地域連携によるAI対策の枠組みを確立することとされ、疾病予防上戦略的に重要な8か所の地域を中心に、各国がそれぞれの役割分担を担うとされている。ただし問題点として各国の予算分担と予算調達のめどが立たないこととされ、12月のアセアン全体会合に向けて緊急な具体策の整理と資金調達先の確保が必要とされた。

 各国の役割分担は、(1)疾病発生監視調査と疾病診断関連をタイが担当、(2)対策全体の枠組み整理と緊急時の対策方針、清浄化区域設定をマレーシアが担当、(3)戦略的ワクチネーションの実施をインドネシアが担当、(4)情報提供サービスをシンガポールが担当、(5)リスクコミュニケーションをフィリピンが担当−とされた。

 また当対策本部は国連食糧農業機関(FAO)、国際獣疫事務局(OIE)、世界保健機構(WHO)などの国際機関との連携を密に取り、先進援助国からの協力を求めたいとしている。


アセアン家畜衛生信用基金

 また声明では、AI対策をはじめ、この地域で従来からの懸案である口蹄疫や豚コレラなど、長期にわたる継続的な伝染性家畜疾病清浄化対策推進のため、基金を設立することで合意したとされた。基金の総額は2百万ドル(約228億円:1ドル=114円)ともされるが、今のところ出資割合など詳細な情報は提示されていない。


そのほかの共同声明

 そのほか、これらの会合で合意された内容として、AI対策関連では動物用ワクチン使用に関する域内基準の作成が挙げられ、域内における使用基準の統一や特定ワクチンの登録に際する基準の統一が必要であるとされた。

 また畜産関連ではアセアン地域で生産された畜産物の国際競争力を高めるために、冷蔵・冷凍牛肉生産のための牛と畜場の基準をアセアン統一規格とすることとされた。また、アヒルのと鳥基準、羊、ヤギについてはと畜基準のほか飼養基準についても同様に統一規格を定めることとされた。

 一方、加盟各国の食糧安全保障強化のため東アジア緊急備蓄米計画やアセアン食糧安全情報システムの立ち上げについてプラス3各国を交え検討を継続することとされ、これに関連してアセアン域内の食糧流通に際し、人体に悪影響を及ぼす殺虫剤などの化学薬品の残留限度濃度に関する域内の基準を強化するとした。


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