2006年のブロイラー生産量は前年比2.9%増の見込み米国農務省(USDA)は先ごろ、2005年および06年における中国のブロイラー生産予測を発表した。これによると、ブロイラー生産は力強い国内消費および海外需要に支えられて、それぞれ、前年比2.0%増の1,020万トン、同2.9%増の1,050万トンに増加する見込みである。また、ブロイラー産業を支える穀物の生産状況については、2003年は干ばつや水害などの自然災害の多発で12年ぶりに4億3千万トン台に落ち込んだものの、2004年から05年にかけては生産の回復が予測されることから、ブロイラー飼料価格の低下が期待されるとしている。このことも今後のブロイラーの生産増に寄与するものと思われる。 政府のブロイラー生産振興策に期待 中国政府は、増大するブロイラーの需要増大に対処するため、2004年および05年にそれぞれ450億元(5,850億円:1元=13円)および250億元(3,250億円)を投じ、農業税の免除および低減、穀物生産者に対する直接補助、高品質の飼料作物種子の育種、鳥インフルエンザをはじめとする疾病対策などを通してブロイラーや飼料産業のてこ入れを行った。さらに、政府は、50億元(650億円)の予算で全国に2千カ所の動物医薬品の残留検査所を作る計画を発表しており、これも消費者のブロイラーをはじめとする食肉への信頼を獲得する材料になると期待されている。 鳥インフルエンザのさらなる発生に懸念 こうしたブロイラー産業への支援策が取られる一方、中国は世界的にまん延する鳥インフルエンザの脅威にさらされている。現在、鳥インフルエンザの発生が確認されているのは遼寧省、安徽省、湖南省といった人口が密集する沿岸部に近い地域や、内蒙古自治区、新彊ウイグル自治区など内陸の国境地域であり、被害は広範囲に及んでいる。それぞれの地域ではブロイラーをはじめとする家きん類の処分措置などが行われているが、今後、全国的に感染被害が拡大する懸念も指摘されている。中国は11月から、これまでに同疾病が発生した国からの家きんなどの輸入を一時停止したほか、首都北京市では生きた家きんの取引および地方からの持ち込みの全面禁止、空港や港湾における検疫強化などの措置を取り始めた。さらに、温家宝首相は全国に対して本格的な感染防止対策を行うとともに、情報の透明性を確保するよう指示している。 通貨元の切り上げに伴う輸出動向に注視また、USDAは、中国の2006年における鶏肉輸出量を前年比20%増の36万トンと予測している。この伸び率は、前年より小さいものとなっているが、これには、本年7月に中国の通貨「元」が実質2%程度切り上げられた影響も大きいとされている。今のところ、中国政府はこれ以上の切り上げについての名言を避けているが、今後の切り上げやその幅の大きさによっては、鶏肉をはじめとする農産品などの輸出に与える影響は見逃せないものになると思われる。 |
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