米国農務省、BSEサーベイランスの拡大を公表


2万頭の健康牛に対しBSE検査を実施

 米国農務省食品安全局(USDA/FSIS)は9月28日、FSIS全検査官に対し、「明らかに健康的な成体牛」に対するBSE検査の実施に関する文書を通知した。当該通知により、同動植物検査局(APHIS)の検査官は、BSEサーベイランスの拡大の一環として、と畜前検査を通過した30カ月齢以上の健康牛2万頭から脳サンプルを採取することとなる。なお、健康牛に対するBSEサーベイランスは、APHISとの間でサンプリング計画への参加について合意し、契約が締結されたと畜施設においてのみ実施される。

 同通知文書では、今回の健康牛に対するBSE検査について、APHISが当該サンプルの選定および採取などすべての責任を有することを明確にするとともに、(1)関係者に対する認識会議の実施、(2)サンプルの選択および採取基準、(3)検査結果に関する事項、(4)公衆衛生−などに関する一連の実施基準を示している。今後、APHISは、「健康牛サンプル採取契約」に基づく当該サンプリング計画の推進のため、各と畜施設およびFSIS公衆衛生獣医師(PHV)などと連携していく。

 当該サンプリング計画の実施に先立ち、APHISは関係者に対する会議の実施を予定しており、各と畜施設に割り当てられたサンプリングの計画頭数や、各施設におけると畜および枝肉などの保管能力の確認が行われる。

 なお、既存の規則により、検査中のと体の枝肉などはBSE検査の結果が判明するまでの間、と畜検査合格の押印が行われず保留されるため、食肉などとして市場に流通することはない。

新たな段階を向かえる米国のBSEサーベイランス

 FSISは、2004年6月以降、歩行困難牛など中枢神経症状を呈したすべての高リスク牛に対して拡大したBSEサーベイランスを実施し、これまで一定の成果を挙げてきた。このような中、これまでBSE検査において対象外となっていた健康牛についてもBSEサーベイランスの対象とすることにより、日本をはじめとする貿易相手先に米国のBSEの浸潤の低さを示すとともに今後のBSE対策の見直しの基礎としようとの意図を有しているものと考えられる。

◎FDA、飼料規制拡大に関する規則案を公表

 米国保健社会福祉省食品医薬局(HHS/FDA)は10月4日、米国の消費者に対するBSE発生の要因とされる物質からの保護を促進するため、家畜の飼料規制に関する新たな規則案を公表した。今回公表された規則案では、家畜の飼料規制において、(1)30カ月齢以上の牛由来の脳およびせき髄、(2)食肉検査を実施していない、または、検査に合格していないすべての月齢の牛由来の脳およびせき髄、(3)食肉検査を実施していない、または、検査に合格していない脳およびせき髄が付着した牛由来のすべての枝肉、(4)今回の規則案による禁止部位由来の不溶性不純物が0.15%以上の牛脂、(5)今回の規則案による禁止部位由来の機械的に除骨された牛肉−について、BSEの潜在的な感染原因とされるものと位置付け、すべての動物の飼料への使用を禁止することを提案している。

 今回の追加的な措置の公表に当たり、エッシェンバッハFDA局長代理は、「現在、米国の消費者をBSEから保護するためすでに実施している効果的な措置を一層強化することにより、わずかなものとなっているリスクはさらに縮小される」と述べた。


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