2007年農業法をめぐるUSDA主催フォーラムの総括


米農務長官、全米各地で開催した新農業法に関するフォーラムの結果を総括

 ジョハンズ米農務長官は10月6日、ワシントンDC内で開催された農産品クラブ(Commodity Club)の会合に出席し、米国農務省(USDA)が全米内の26カ所で2007年農業法に関するフォーラムを開催し、同長官自身もこのうち17カ所に出席した結果について総括した。

 農業法自体は立法権を有する米国議会が定めるものであるとしつつも、ブッシュ大統領と同長官は新しい農業政策により影響を受ける者は、これを展開させていく過程において、意見を述べるべきであると考えていると、フォーラムの開催するに至った背景や位置付けを説明した。

 また、現在の農業法の利点や欠点について偽りのない、また率直な評価を聞くことができ、いくつかの事項については共通の認識が醸成されつつあるとした。


農村開発、環境保全、市場拡大については共通の認識が醸成

 
 同長官は、農村開発プログラムに対して一貫してこれを支持する意見を聞くことができたとし、ブッシュ大統領による農村開発がこれらの地域の人々の生活に変化をもたらしたことを強調した。

 また、環境保全プログラムについても大変多くの支持があったとし、同プログラムでは、農業者や牧場主に資金的な援助を行うと同時に、自然環境の保護によるわれわれの世代や次世代に社会全体としての利益を提供しているとしてその継続の重要性を示した。

 さらに、米国産農産物の競争力と海外の市場の新規開拓や既存市場の拡大の重要性について多くの意見を聞いた。農家や牧場主は公平な貿易を望んでおり、自分も同意見である。農家は販売額の4分の1が貿易によりもたらされていることを理解していた。


農家支持プログラムについては、大規模農家への集中を懸念

 農家支持プログラムについては、より手厚い保護を望む意見が聞かれるものと予想していたが、変化を求める意見もあった。全体として、農家への支払いが上昇する農地価格に費やされ、かつ、3分の1の農業者に集中することにより、大規模農業者により大きな利益をもたらしていることに対する懸念が示された。特に、中小規模の農家の懸念が大きかった。また、地域的な差も見られた。中西部では支持の上限設定を求める声があったのに対し、西部ではこれに反対する意見が聞かれた。作物間での支持の差に対する不満も聞かれたが、実際、現行農業法下では穀物に価格・所得支持プログラムが集中している。農家支持プログラムが生産を助長し、より多くの作物を生産し支持を得るために農地を拡大する要因となっていることを指摘する意見が多かった。農業政策が需要を勘案せずに農地や生産の拡大を助長するのであれば、農産物価格の低落は自明である。


農場継承や新規就農の困難性が課題

 同長官はまた、農場継承や新規就農問題にも言及し、高い農地価格や金利から、農家の子息の農場継承や新規就農の困難性を訴える意見が若い世代から聞かれた。


現行農業法を時代の変化に適応させる必要

 同長官は、2002年農業法を当時自分は正しい政策としてこれを支持したものの、時代の変化を感じた。われわれはWTOを米国産品のための市場開放に用いなければならない。WTOが次期農業法を草起するわけではないが、市場アクセス分野で利益を得るためには国内支持分野で指導力を発揮する必要があるとし、次期農業法においてWTO農業交渉の趨勢を先取りすることの重要性を強調した。


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