● ● ● ひなのふ化羽数は減少 ● ● ●
ひなのふ化羽数の推移をみると、7月をピークに減少している。これは、7月末にEUがアジアの鳥インフルエンザ発生国からの鶏肉の輸入を、12月15日まで認めないと輸入停止措置を再度延長したことなどにより、生産意欲が減退したためと考えられる。
一方、ひな価格は上昇している。
図1 ひなのふ化羽数と価格の推移
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資料:タイ農業協同組合省農業経済局 |
ブロイラーの生産費の動向をみると、飼料原料のトウモロコシなどの国際価格が低下し、飼料費も低下しているものの、ひな価格の上昇がそれを上回っている。
このような中、農家販売価格は上昇しており、農家収益も上昇している。
● ● ● 鳥インフルエンザ常駐化の懸念 ● ● ●
タイ政府は、再度発生した鳥インフルエンザに対応するため、昨年10月中旬、農業協同組合省や公衆衛生省などの副事務次官を執行部とし、関係部局の局次長を構成員とするの鳥インフルエンザ対策センター(AIOC)を設置し、公衆衛生省疾病対策局の局長を理事長に任命するとした。
同理事長は、12月13日、野鳥を検査した結果、6種類の野鳥に鳥インフルエンザのH5N1亜型ウイルスを検出したと発表した。これらの野鳥は水鳥の鵜やコウノトリそしてカワラバトなどの土着性の鳥であるとされ、ウイルスの常駐化が懸念されている。
検査対象となったサンプルは1千余りで、検査の結果では、中央平原地方のサラブリ県、ロプブリ県そしてチャコエングサン県と北部地方のナコンサワン県からの10のサンプルからウイルスが検出されたというものである。
この結果に対して同国の国連食糧農業機関(FAO)は、ウイルスが環境の中で循環している証拠であり、特に水鳥はウイルスの貯蔵庫であると指摘している。
7月初旬に再発し、その後も散発的に発生が継続しているが、最近でも12月23日には中央平原地方および北部地方の5県で12カ所の発生が報告されており、清浄化の見通しが立たない状況である。
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