EUの2005年家畜疾病対策予算は、BSE対策を強化


総額は約269億円

 欧州委員会は2004年10月15日、2005年の家畜疾病対策予算を承認した。EUの家畜疾病対策は、伝達性海綿状脳症(TSE)や家畜および人間の健康に影響のあるその他の家畜疾病に取り組むものであり、その予算総額は約1億8,800万ユーロ(約269億円、1ユーロ=143円)となっている。これは、2004年予算に比べ、約4,100万ユーロ(約59億円)の増額となっている。特に、BSEのモニタリングおよび撲滅対策予算、スクレーピーの撲滅対策予算をそれぞれ大幅に増額している。

 このように家畜疾病対策の予算を増額していることについて、欧州委員会は、家畜および人間の健康を守るための疾病撲滅対策が重要となっていることを反映しているものであるとしている。また、デビッド・バーン保健・消費者保護担当委員は、「われわれは、家畜疾病との戦いに対して、2005年の予算を増額した。家畜が健康であることは、安全な食品にとって重要なことである。本日の決定は、現在行われている先取的なモニタリング、予防措置および撲滅対策を支持することを約束するものである」と述べている。

BSE対策を大幅増額

 BSEのモニタリングなどBSE対策の予算として、9,810万ユーロ(約140億万円)が計上されており、前年に比べ約2,100万ユーロ(約30億円)の増額となっている。従来からの15加盟国に係る予算で比較しても昨年に比べ約2割の増額となっている。この予算の下で、30カ月齢超の食用に向けられるすべての牛などのBSE検査が実施されることとなる。

 一方、スクレーピー撲滅対策については、感染が発見された群のとう汰や、TSEに抵抗性を持つ羊の繁殖計画を実施しており、これらの対策に、約3,300万ユーロ(約47億円)が確保されている。

 なお、加盟国から提案された2005年におけるモニタリングおよび撲滅計画に基づき、欧州委員会によりそれぞれの計画の査定を経た後、委員会が各加盟国に対するEUからの最大支援可能額を承認した。

その他の家畜疾病撲滅計画

 TSE対策のほか、人畜共通感染症(サルモネラのように食物などを通じ家畜と人間の間で感染するもの)のうちブルセラ病や牛結核など10種類の重要な家畜疾病に対し、モニタリングおよび撲滅対策として、総額は約5,500万ユーロ(約39億円)が計上された。

2005年においては、特にブルセラ病(人間のマルタ熱の原因となる。)対策の予算が増額されており、その予算額は約3,500万ユーロ(約50億円)となっている。


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