豚肉生産は比較的安定
EUの豚肉関係者で構成される豚肉常設委員会予測グループが先ごろ開催された。このグループの需給見通しによると2004年の豚肉生産量は、EU25カ国全体では、前年比0.7%減の2,106万トン(枝肉ベース、以下同じ)であるが、EU15カ国でみると、同0.3%増の1,784万トンと見込まれている。
また、2005年の生産は、EU25カ国では同0.7%減の2,091万トン、EU15カ国では同0.4%減の1,777万トンと、ともに減少するものの、比較的安定すると見込まれている。
2005年の生産量を主要国別にみると、EU最大の生産国であるドイツは前年比1.2%減と見込まれている。なお、第2位の生産国スペインでは同0.6%増、第3位のフランスは同0.1%減、また、主要豚肉輸出国であるデンマークやオランダでは、それぞれ同0.6%減、同1.0%増と主要国における豚肉生産は、安定的に推移するものと見込まれている。一方、新規加盟国をみると、EU25カ国の中でも第4位の生産国であるポーランドが同1.9%減、また、チェコ、ハンガリーでは、それぞれ同6.2%減、同5.5%減と見込まれている。
価格は回復し、良好に推移
価格動向をみると、2003年後半から2004年初めにかけてのEU15カ国における豚枝肉卸売価格は、2年連続での豚肉の民間在庫補助の実施や、約3年半ぶりの豚肉への輸出補助金の交付を再開しなければならない程低迷していた。しかし、価格はその後回復し、2004年第3四半期にはEU25カ国全体の平均が100キログラム当たり149.74ユーロ(約2万1,400円:1ユーロ=143円)となり、同年第4四半期には季節的な下落も手伝い、価格は同139.06ユーロ(約1万9,900円)に低下するものの、2004年の年間の平均価格は同137.55ユーロ(約1万9,700円)と2003年の平均価格127.24ユーロ(約1万8,200円)を約8%上回ると見込まれている。
なお、2005年においては、第1四半期では138.91ユーロ(約1万9,900円)と若干低下するものの、第2四半期では145.59ユーロ(約2万1,000円)と再び上昇すると見込まれている。
◎BSEのヤギについてさらに調査
EUにおける伝達性海綿状脳症(TSE)の参照研究所(CRL:Community Reference Laboratory)の専門家パネルは2004年11月25日、BSEに罹患したと疑われるヤギについてのデータは不十分であるため、現時点においては、最終的な判断は下さないとする結論を公表した。
これは、フランスの研究グループがヤギの中にBSEとは区別ができない検査結果を示すものを発見したという報告を受け、2004年10月下旬以降、上記の専門家パネルにおいて検討を行ってきたものである。
問題のヤギは、2002年にフランスで行われたTSE検査により、通常のスクレイピーとは異なる型のTSEに罹患したと疑われ、その後、フランスの研究グループによりこのヤギの脳はBSE陽性であると診断されていた。
今回のパネルの結論によれば、必要なデータをそろえるためには約2カ月が、さらに、ネズミを用いた生物学的検定などの確認検査を実施した後に結論を出すまでには約2年を要するとしている。
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