アルゼンチン牛肉振興機関、牛肉消費促進を目的とした調査結果を公表


消費者は赤身肉を好む傾向

 アルゼンチン牛肉振興機関(IPCVA)の設立目的である国内外におけるアルゼンチン産牛肉の需要拡大を推進するため、同機関が食肉消費についての予備調査を実施したところ、消費者は赤身の肉を好むことが明らかとなった。

 アルゼンチンでは食肉消費に関する全国的な情報が不足していることから、IPCVAでは、国民の食生活における牛肉の位置付けを調べるため、予備調査と本調査の2段階に分けた市場調査の実施を決定した。

 今回の予備調査で得られた結果から、食肉とその消費に関しての問題点を検証し、全国的に行う本調査では統計的に有効となるデータが得られるとしており、詳細は3月以降に取りまとめられる予定となっている。

 この調査結果に基づき、IPCVAではマーケティング戦略を構築し、食肉産業における収益性の向上と需要の拡大を図ることとしている。

2タイプに分かれる牛肉に対する意識

 予備調査では、ブエノスアイレス、ロサリオ、コルドバ、メンドーサなど主要都市において有識者各8人ずつで構成されたグループに対し、IPCVAが提起した疑問点を基に作成した基準に従い、食肉消費に関する考えや意識などが調査された。

 この中で週に3回以上牛肉を食べる者(以下「習慣的消費者」とする)と週に1回程度の者(以下「散発的消費者」とする)の行動の違いが明らかになった。

 いずれのタイプの消費者も、牛肉を食生活に不可欠な基本食料と考えているが、習慣的消費者は牛肉を伝統的食文化の一部をなす象徴的な存在としており、その消費についてはかなり情緒的にとらえている。一方、散発的消費者は、牛肉はたんぱく源として欠かせない食料という考えをしっかりと持ち、理論的にその価値を認めている。

 また、一般的にすべての食肉を一様には考えていないが、「他の食肉よりもなぜ牛肉を好むのか」という観点に対し、「経済的、満腹感が得られる、おいしさ」などを挙げている。さらに、「調理の容易さ、レシピの豊富さ、調理方法の多様性」も牛肉を好む理由としており、IPCVAでは、結果的に確実なたんぱく質の摂取に役立っているとしている。

輸出促進キャンペーンも実施

 IPCVAでは国内だけではなく、海外においてもアルゼンチン産牛肉の消費促進を実施している。昨年8月に輸出が再開されたチリはEU向けの高級牛肉枠(ヒルトン枠)を補完するため、アルゼンチンにとっては重要な市場とされており、8月以降サンティアゴ市を中心に試食会、高速道路沿いの看板などさまざまな消費拡大に向けた促進活動を行っている。

1人当たり消費量は前年比4.6%増

 アルゼンチン食肉商工会議所(CICCRA)によると、2004年の牛と畜頭数は、国内消費と輸出の伸びにより、1990年以降最高の1,400万頭近くとなると見込まれている。

 牛肉の国内消費は、2001年の経済危機以前の水準まで回復しており、2004年1〜10月の消費量は、所得の向上などから196万トン(枝肉重量ベース)と前年同期比5.6%増となった。これは全生産量の約8割を占めている。また、1〜10月の平均1人当たり年間消費量は、前年同期比4.6%増の63.4キログラムとなった。

牛肉の1人当たり消費量の推移
(2001年1月〜2004年10月)
資料:SAGPyA.


 一方、小売価格も上昇傾向で推移しており、アルゼンチン農牧水産食糧庁によると2004年1〜10月は前年同期比5.8%高となっている。

 価格が上昇しても消費に衰えが見られず、アルゼンチンの消費者と牛肉の強い結びつきがうかがえる。


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