2005年ドイツの牛と畜頭数は減少見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005年と畜頭数は前年比3.7%減 ● ● ●

 ドイツはEU15カ国の中でもフランスに次ぐ牛肉生産国であり、また、その輸出量は、域内外向けを含めてアイルランドを抑え域内最大となっている。ドイツの最近の牛肉需給動向についてみると、2004年の牛と畜頭数は、前年に比べて2.6%増の407万4千頭と見込まれている。しかし、ドイツ連邦消費保護・食料・農業省(BMVEL)によると、2005年以降は、共通農業政策(CAP)改革で導入された生産とは切り離した単一の直接支払い(デカップリング)の実施により、多くの小規模農家の廃業が予想され、それに伴う牛飼養頭数の減少から、2005年のと畜頭数は同3.7%減の392万2千頭と見込まれている。さらに、酪農分野においても、CAP改革により2004年7月からバターと脱脂粉乳の介入価格が段階的に引き下げられたことから、酪農家戸数、乳用牛飼養頭数の減少が加速するとしている。
 BMVELによると、同国のCAPの実施が、今後の肉牛生産や牛肉の輸出入など、域内の牛肉部門に影響を及ぼす可能性があり、また、各加盟国における牛肉の供給不足を一層顕著にするものと見込まれている。

ドイツの牛と畜頭数の推移
(単位:千頭)
資料:BMVEL、ZMP

● ● ● 牛肉消費は回復基調 ● ● ●

 ドイツの2003年における食肉消費をみると、食肉全体の生産量は増加したにもかかわらず、年間1人当たりの食肉消費量が、2000年以降初めて90キログラムを超えるなど食肉消費も増加したことから、食肉全体の自給率は前年に比べ3.0ポイント減の92.0%となった。牛肉の1人当たりの消費量は、2000年秋以降の牛海綿状脳症(BSE)問題再燃の影響から、2001年では9.9キログラム(前年比4.1キログラム減)と落ち込んだものの、さまざまなBSE関連対策の実施などにより消費者の牛肉に対する信頼が回復したことから、2002年では11.9キログラム、2003年では12.8キログラムと回復基調にある。なお、同国の牛肉1人当たりの消費量は、EU15カ国の平均(同20.0キログラム)や、同国の豚肉(55.9キログラム)や家きん肉(18.2キログラム)のそれと比べると、依然低い水準である。


● ● ● 2005年生体輸出は6.0%減、輸入は3.8%増 ● ● ●

 近年の増加傾向で推移する国内の食肉需要を背景に、2003年のドイツの食肉市場は、国内生産の不足分を賄うため、輸入の増加や介入在庫からの放出により均衡が図られた。ZMPによると、今後の肉牛生産の減少は、牛生体の輸出入の動向にも影響し、2005年の輸出は前年に比べて6.0%減の91万頭、輸入は同3.8%増の24万6千頭と見込まれている。

EU主要国の1人当たりの牛肉消費量の推移
(単位:千頭)
資料:ZMP

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