2004年第3四半期までの生乳生産量は減少傾向


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● EU15、前年比1.4%減 ● ● ●

 EU15カ国における生乳生産量(乳業メーカーへの出荷量)は、域内の生乳需給のバランスを保つため実施されている生乳生産割当(クオータ)制度の下、安定的に推移している。ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2004年第1〜3四半期(1〜9月)のEU15カ国の生乳生産量は、前年同期に比べて1.4%減の8,708万トンとなった。なお、2004年初め以降、前年に比べ減少傾向にあるものの、徐々に昨年の水準に近づいている。

 国別にみると、需要期前の5月以降生産量がかなり増加したフランスでは、前年同期に比べて3.0%増の1,732万トンとなったものの、最大の生産国であるドイツが同1.0%減、イギリスが同3.3%減、オランダが同3.1%減と、主要生産国の多くは昨年同期に比べて減少している。

 一方、新規加盟国をみると、ポーランドではEUの厳しい衛生・品質基準への適合などの課題を残すものの、5月の加盟後、乳価が上昇傾向で推移したことを背景に、特に6〜8月に生産量を伸ばすなど、第1〜3四半期までの生産量は同5.8%増の598万トンとなった。また、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国では同8.0%増とその増加が目覚ましい。

EU主要国別生乳生産量
(単位:千トン、%)
資料:ZMP
 注:各年1〜9月の数値

● ● ● 域内のチーズ消費は増加傾向 ● ● ●

 生乳生産が安定的に推移する中、近年の主要乳製品の消費動向をみると、EU15カ国における2003年の1人当たりチーズ消費量は、前年に比べて0.2キログラム増の18.9キログラムとなった。ZMPによると、チーズ消費量は、域内外の需要増を背景とする生産の拡大とともに増加し、2004年では同20.1キログラムと見込まれている。なお、新規加盟10カ国における同年の同消費量は11.3キログラムと見込まれ、EU15カ国との格差はかなり大きいものなっている。2003年の同消費量を国別にみると、EU15カ国のほとんどで前年を上回り、中でもギリシャが28.7キログラムと最大で、そのほかでは、フランス、ドイツで20キログラムを超えている。

チーズの生産と消費の推移(EU15)
資料:ZMP

● ● ● バター消費は比較的安定 ● ● ●

 また、2003年の1人当たりバター消費量は前年同の4.4キログラムと、2001年以降変化がない。加盟国別にみると、フランス、ドイツはそれぞれ7.8キログラム、6.6キログラムで、デンマーク、スペインではそれぞれ1.7キログラム、0.5キログラムと各国では格差がみられる。なお、ZMPによると、2004年の同消費量は、EU15カ国では4.4キログラム、新規加盟国では4.0キログラムと見込まれている。

バターの生産と消費の推移(EU15)
資料:ZMP

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